【現代音楽シリーズ】千原×当間の新しい舞台
 ~舞台アート音楽作品「GAGAKU I II」(10/13更新)
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メールマガジン『コレ・マガ』に掲載の記事より、今回の〈現代音楽シリーズ〉の聴きどころをご紹介します!


OCM初の新しい試み、千原英喜氏による、舞台アート音楽作品「GAGAKU I II」が、今回の現代音楽シリーズのメインとして注目されています。

副題にある、折口信夫死者の書」では、以下の2つの物語が題材です。
・「日本書紀」や「古事記」に伝えられる大津皇子の物語
・『当麻曼荼羅縁起(たいままんだらえんぎ)』に伝えられる中将姫の物語

大津皇子はその多才、人を引きつける魅力の持ち主で、皇太子草壁皇子即位の障害になると恐れた持統天皇の謀略によって抹殺されたとされています。
主人公となる藤原南家郎女はこの大津皇子の魂に導かれながら一人、山深い寺に入り、蓮糸で織物を織り、曼荼羅を描き上げます。

歌詞の一部をご紹介します。現代語訳、解説を担当しているのは、団員の内野浩介さん(ベース)です。

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(大津皇子、 死を被りし時に、 磐余の池の堤にして 涙を流して作らす歌一首)
(大津皇子が 処刑されるときに、磐余の池の堤で   涙を流して作られた歌一首)

百伝ふ 磐余の池に 鳴く鴨を    今日のみ見てや 雲隠りなむ
【枕詞】 磐余の池に 鳴いている鴨を 今日だけ見て  死んでいくのか

 ※大津皇子の辞世の歌として伝わった一種の伝承歌か?
  類似の臨刑詩が中国にかなりあり、古くは唐以前にも見られるため、
  皇子の非業の死を悼んで詠んだ後人の仮託ではないかと思われる。


(大津皇子の屍を  葛城の二上山に移し葬る時に、大伯皇女の哀傷して作らす歌二首)
(大津皇子の遺体を 葛城の二上山に移葬した時に、大伯皇女が悲しんで作られた歌二首)

巌石の上に  生ふる馬酔木を   たをらめど
磯のほとりに 生えているあしびを 折りたいが

  見すべき君が       ありと言はなくに
  お見せする相手のあなたが いるわけではないのに

 ※大伯皇女:大津皇子の実姉

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歴史の闇に沈んだ、数々の人の消える事のない「想い」、その産み出すエネルギーが現世と呼応する時・・・
静謐な闇の中に静かに満ち、昇華していく「魂」が、音と光、人の動きによって舞台に現出します。

新しい舞台芸術の世界へ、ぜひ、お越し下さい!



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【2008/10/10】