J.S.バッハ/クリスマス・オラトリオ ~第2部~
先週に引き続き、今週は第2部 降誕節祝日12/26用についてご紹介します。
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■第10曲 合奏曲:フルート2本、オーボエ・ダモーレ2本、オーボエ・ダ・カッチャ2本、ヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音による
イエスが生まれようとしている晩、野原では羊飼いたちが羊を守りながら野宿している。天使たちの合奏とも言える、パストラーレ(牧歌)風。
■第11曲 福音史家(T)
「羊飼いたちが羊の番をしているところへ、天使たちの大軍がやってきてあたりをまばゆく照らしたので、彼らはひどく恐れた。」
■第12曲 コラール(SATB)
「恐れることはない、天使たちはこう言っている。『このか弱い幼子こそが悪を打ち破り自由をもたらす我らの慰め、喜びとなるのだ』」
■第13曲 福音史家(T)続いて天使の福音(S)
「天使の福音『恐れるな、私は今大いなる喜びを告げる。今日、ダビデの町に救い主がお生まれになった。』」
■第14曲 レチタティーヴォ(B):オーボエ・ダモーレ、オーボエ・ダ・カッチャ、通奏低音
「神がアブラハムに約束したことが果たされたのだ。」
■第15曲 アリア(T):フルート、通奏低音
「さあ、羊飼いたちよ、その喜びであるところの幼子の元に急ぎなさい。」
軽やかなパッセージが、喜び勇んでそちらへと走っていく様子を表します。
■第16曲 福音史家(T)
「あなたがたは、飼い葉桶に眠る御子を見るであろう。」
■第17曲 コラール(SATB)
「あそこを見よ、暗い厩に眠る幼子が、全世界を統べる方なのだ。」
■第18曲 レチタティーヴォ(B):第14曲と同じ編成
「羊飼いたちよ、さあ行きなさい。そして硬い飼い葉桶に眠っている御子を見たら、優しく声を合わせて子守唄を歌って差し上げるのだ。」
■第19曲 アリア(A):第10曲と同じ編成、ただしフルートは1本
この曲集の白眉とも言える、アルトによる名アリア。
全世界の心からの愛おしみを持って歌われるパストラーレ。
「お眠りなさい、私のいとし子よ、安らぎを楽しみなさい。そしてそのあと目を覚しなさい、すべての繁栄のために」
■第20曲 福音史家(T)
「すると突然天使の軍勢が現れて、神を賛美して言った。」
■第21曲 合唱曲:第10曲と同じ編成
「いと高きところには栄光神にあれ。地には平和、人には神の恵みあれ。」
■第22曲 レチタティーヴォ(B)
「そう、天使よ歓喜して歌いなさい。私達には今日素晴らしい事が起こったのだ。さあ 私達もあなた方と一緒に声を合わせ、同じように喜ぼう。」
■第23曲 コラール:第10曲と同じ編成
「私達はあなたの軍勢とともに歌う。力の限り、讃美と誉れと栄光とを長く待ち望んでいたあなたがその姿を現したのですから。」
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第1部で真の王の権威を表していたトランペットはなりを潜め、イエス誕生のその瞬間の全世界の静寂、そして心の底からの深い喜びのあふれる様子を描写しているのがこの第2部ではないでしょうか。
(2008. 11. 21. コレ・マガ 第363号より転載)
【2008/12/14】
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