主に向かって新しき歌を歌え!~6月27日プログラムより
   (メールマガジン「コレ・マガ」掲載記事より)


今年に入ってから東京公演(宮沢賢治の世界)や様々なCD録音に超多忙を極めていた我々ですが、6月27日はOCMにとって半年ぶりとなります、ホームグラウンド・大阪でのホールコンサートです。当日のプログラムより、今週はJ.S.Bach/Singet dem Herrn ein neues Lied について、概要をご案内します。

◆J.S.Bach/Singet dem Herrn ein neues Lied BWV 225
そもそもモテット(Motette)とは語源をたどれば「言葉」と言う意味であり、ある意味中世以来の最も古い教会音楽の伝統的手法に従っているともいえますが、バッハの常人でないところは、知的かつ華麗な対位法技術と象徴表現を通じて、時空を超え、普遍の「真実」を絶えず欲求してやまない、ということではないかと思います。

冒頭二重合唱がそれぞれ主に向かって新しい賛美の声を挙げ、それが次第に高まっていく中で、次第に二つの合唱群が融合、「フーガの技法」を駆使して各パートが生き物のように絡み合い高まり合う。精神的高揚の内に、第二部では聖句を歌うコラール群と、だからこそ主を讃えよと歌う合唱群。そして第3部~最終章に向け、溢れる歓喜のエネルギーのその頂点で8声が4声に集約され濃密なポリフォニーが繰り広げられる。

この音楽的、技術的、精神的に充実した集中力が要求される名曲に、これまで以上に精緻なアプローチをもって、いま再びシュッツ合唱団が取り組みました。
ライブで、これだけの内容を伴った演奏に出会える機会はそうないと自負できる演奏になると思います。どうぞご期待下さい。

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6月27日(土)「ドイツ音楽の魅力~ベートーヴェンの大いなる座標~」
何と言ってもシブいこのプログラム。技巧的合唱曲の最高峰、弦楽の叡智の集結、歌と器楽の共演から、3大交響曲の一つ、シューベルトの『未完成』まで。
当間修一の音楽観に貫かれる至福の一夜を、ぜひ、ともにお過ごし下さい。

【2009/06/12】