魅惑の千原サウンド!
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京都府立府民ホール アルティにて開かれる『男声合唱の夕べ』が、いよいよ今週7月26日(日)に迫りました!!
当間修一が音楽指導を行っている「京都C.モンテヴェルディ合唱団」「名古屋ビクトリア合唱団」との共演により、男声合唱の魅力をたっぷりお楽しみいただきます。

今日は演奏曲目の中から、千原英喜氏による2つの作品をご紹介します。

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■男声合唱のための「おらしょ」
    カクレキリシタン3つの歌

おらしょ(Oratio)は、カクレキリシタンたちが信仰を伝承していく中で伝わっていった祈りの言葉です。元々ラテン語やポルトガル語だったものが日本語風に訛った言葉(例えば "Kyrie eleison" →「きりや れんず」など)が聞こえてきます。加えてラテン語によるグレゴリオ聖歌や、長崎県に伝わる日本語の節なども交互に現れ、作曲家自身が「私の自由なファンタジーによって織り上げた」と言っているように、千原氏独自の世界でありながらも時代の空気や異国情緒を感じさせる、不思議な音空間が作り出されて行きます。

ザビエルの来日から今年で460年。繁栄から迫害への歴史の荒波の中で、変容し形を変えながら今日まで伝えられてきた調べを基調に、時代の波に飲まれていった人々の悲しみのフレーズと、厚い信仰心をもって生きた信徒たちの力強い言葉とが対照的に響きます。

■「カンティクム・サクルム」第2集〈マリア、アレルヤ!〉
    男声合唱のための3つの聖母賛歌

ラテン語(1、3曲目)と日本語(2曲目)とによるマリア賛歌。とはいえ西洋のAve Mariaなどとは違って、委嘱時の原題「Canticum Sacrum Nipponicum(ニッポンの聖なる歌)」が示すように、日本的なリズムをふんだんに使って作曲された「空想上の典礼のための合唱曲」(作曲者メッセージより)となっています。
ティンパニの拍子に乗って歌われる1曲目は、手拍子も交えつつ楽しく聴いていただける盆踊り風の賛歌。一転して2曲目に、ア・カペラによる美しい祈りの歌が続きます。終曲は再びティンパニ(およびマラカス)が登場し、民俗的な趣の節に掛け声も加わって、祭りの様相を呈しながら何度も「アレルヤ!」と聖母を称えます。

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西洋音楽の礎たるグレゴリオ聖歌から和風のモチーフまでを組み合わせ、現代に生きる日本人の歌として構成された千原作品は、想像力を膨らませながら楽しく聴くことのできる千原氏らしいファンタジーの世界です。

今回の「男声合唱の夕べ」では、カウンターテノールを交えた少人数アンサンブルによるビクトリアの作品に始まり、現代の西洋・日本の音楽に連なるプログラムとなっています。歴史の足跡を感じながら男声合唱の魅力を追う、充実の演奏会です!7月26日は祇園祭の熱気冷めやらぬ夏の京都で、男声合唱の祭典をお楽しみください!!

【2009/07/19】