現代音楽シリーズ ~西洋と日本 その点と線(コレ・マガ掲載記事より)


毎年10月と言えば、現代音楽シリーズ。
今回は、ヨーロッパからは20世紀前半を代表する2人の作曲家、ホルストとバルトーク、邦人作曲家では、鈴木憲夫、千原英喜を取り上げます。

ホルスト/7つのパートソング は昨年春、東京にて演奏し、好評頂きました。
バルトーク/弦楽のためのディヴェルティメント と共に、スタイルは古典的ながら、時代と風土の香りが色濃い、名曲です。

鈴木憲夫/楽園 では、ピアノとマリンバ、そして合唱の組み合わせが楽しみです。日本の創成期における、中国大陸、朝鮮半島と日本とのつながり、人間の業や理想への想いを、力強く歌います。

そして今回の白眉、千原英喜/いつくしきのり 。
08年「種山ヶ原の夜の歌 ―異伝・原体剣舞連」「文語詩稿<祭日>」
09年「GAGAKU I II」
と、声と舞台の可能性を追求する作品を発表し続けてきた千原氏の最新作は、聖徳太子による「憲法十七条」を中心とし、その時代をモチーフにした舞台作品となりました。
私たちの元に届けられた手描きの楽譜には、五線譜はほとんどありません。
歌詞と、音の動きやイメージを示す線、そして、ほぼ全曲を通じて「各人自由に」「西洋式でなく」といった但し書きがあります。

<<楽譜の一部をご紹介します>>
[楽譜画像1] [楽譜画像1]
[楽譜画像3] [楽譜画像4]

合唱団とオーケストラを媒体にし、私たち日本人の歩んできた道、そしてこれから先歩んで行くべき道を問いかけます。日本の文化とは、日本人のアイデンティティとは―
千原氏の意欲作が、どんな風に現実化されるでしょうか。ご期待ください。

今年も、様々な魅力あふれる作品が揃いました。他では体験できない芸術空間を、ぜひお見逃しなく!

【2009/10/09】