ベートーヴェン/交響曲第8番に寄せて6月に入り、いよいよ迫って参りました6月20日『楽興の時への誘い』では1994年以来実に16年ぶり、2度目の演奏となるベートーヴェンの交響曲第8番をお聴きいただきます。今回の再演にあたり、当間修一のこの曲に寄せる熱い想いを皆様にお届けします! ** ** ** ** ** ** ** ** ** 一般的にこの8番は他の番号の交響曲に比べ「小曲」「小編成」とのイメージが強いようです。しかし、1番~7番まで培って来た上昇志向とでも言うようなものがベースにある上で、エモーショナルな7番がより昇華して古典主義に回帰していると思うのです。この8番は7番の終盤から同時期に併行して作曲されているのですが、決して小さくなっているとは思いません。 しかもただ昔に戻っているわけではない。ソナタ形式やロンド形式、そのような形式を超越し、例えば5番などの建築的なモティーフ構造からも一歩引いてしかしよく見ると8番のそれはさらに緻密に計算されて構築された『匠の技』と言える。2楽章のつくりはシンプルだが実に巧妙だし、4楽章の異様に長いコーダでは、それまでの精神がより濃密に現されている。 1番から順に追ってみるとこの8番に至ってより解放された精神がそこにあり余裕すら感じさせる。これを経て9番に至ったのだと確信できる。9番を知ればおのずと8番へのアプローチが変わってくるのです。 ** ** ** ** ** ** ** ** ** 当間修一が自らのライフワークの一つと位置づける「ベートーヴェンシリーズ」。 □■コレ・マガ■□ 第440号(2010.6.4発行)より 【2010/06/17】 |