世界初演です!~西村朗「鳥の国」


お伝えしていますように、今月23日の京都公演では、西村朗氏によります、新作・無伴奏混声合唱組曲「鳥の国」を、世界で初めて皆様にお聴きいただく事となります。

テキストは、詩人・佐々木幹郎の詩集「蜂蜜採り」より「鳥の国」ほか2編を選び、合計3曲で構成されています。
西村氏は、この佐々木氏の「蜂蜜採り」より選んだ作品によって合唱の三部作を制作中です。
第一作は「同声合唱とピアノのための組曲<夏の庭>」(2009.10)第二作は「混声合唱とピアノのための組曲<大空の粒子>」(2010.2)、そして第三作が、この「無伴奏混声合唱組曲<鳥の国>」です。

7月に出版された雑誌「詩と音楽のための『洪水』」第6号に、佐々木氏と西村氏の対談が記事となって紹介されています。

西村氏は言います。「ある曲を作曲する際、最初の音をどうしようかと思ったとき、最初の音が出てくれるような真空地帯を作らなければいけない。(中略)五感で判断できるものは音楽創造の起点にはならない。」また、「佐々木さんの詩を読むということは、佐々木さんを食べることなんです。詩で鳥葬される。読葬される。それはあるべきだと思うんです。」
佐々木氏は、自身と詩について「ずっと「私」というものがなんであるかを問いつめているわけてす。できればこの「私」をつぶしてしまいたい。粉々にして溶けた破片のようになり、飛び散らせて、それを見守るような視点で言葉を見つけたかった。」

西村氏の独自の音世界。音の軋み、高音の緊張感、繊細で危うく、胸が張り裂けるような叫びを紡いでいく風景が、またひとつ、新しく誕生します。
その誕生の瞬間を、たくさんの方々と共有できればと思っています。9月23日はぜひ、京都公演で私達と一緒に歴史の1ページを創っていただきたいと思います。心よりお待ちしています!


―□■コレ・マガ■□ 第452号(2010.9.3発行)より転載

【2010/09/16】