楽器ミュージアム


コントラバスについて

林 武寛

 コントラバス、ダブルベース、ウッドベース、弦バス、ストリングベース、どんな 名前で呼んでも、あの大きな楽器の事です。

余談その1
 僕が中学生の頃、友達とバンドを組んでいたのですが、ある日その中の一人が「コ ントラバスというのはクラシック用で、ウッドベースがジャズ用、そして両方に使え るのがダブルベースだ。」と教えてくれました。
 当時、僕はまだ、コントラバスも、ウッドベースも、ダブルベースにもふれたこと がなく「なるほど!」と思っていましたが、それが間違いであることに気がついたの は、大学に入ってからでした。
 他の楽器にも複数の名前をもつ楽器がありますが、それは、主に言葉の違いによる ものだと思われます。この楽器の場合、様々な音楽の中で、使われてきたからではな いでしょうか。オーケストラ、吹奏楽、ジャズ、カントリー、マンドリンオーケスト ラ、フォーク等、クラシック以外の音楽の中でもその存在はかかせないものになって います。

  ◎調弦について
 通常は他の弦楽器と同じく、四本の弦が張られていますが、五本の弦を持つものも あります。以前は、三弦や、六弦の楽器もあったようですが、現在は四弦と五弦の二 種類です。
 ヴァイオリン等は、五度調弦なのですが、コントラバスは四度調弦になっています。

四弦オーケストラ調弦




五弦オーケストラ調弦




四弦ソロ調弦




実音は全て1オクターブ下が鳴っている。


 オーケストラや、室内楽等のアンサンブルの中では、オーケストラ調弦で演奏する のですが、五弦の楽器を弾く場合、最低音をCで調弦する人と、さらに半音低いHに調 弦する人とに分れます。
どちらがいいとかという問題ではありませんが、好みの問題 だと思います。
近代、現代の作曲家は、うまく使い分けています。例をあげると、O.レスピーギの「ローマの松」の最後のアッピア街道の松の中には、Hの音が書かれていますし、M.ラヴェルの「マーメル・ロウ」の中にGのハーモニックスが出てくるのですがそれは、Cで調弦していないと出ない音なのです。
 Hに調弦すると、全ての弦の間が四度になります。Cにすると下の二本の弦の間は三 度になりますが、記譜上は、チェロと同じになります。
 最近は、コントラバスのリサイタル等も増えてきましたが、独奏する場合多くの人 が、ソロ用の弦を使います。これは、オーケストラ用の弦とは、全く別のもので、オ ーケストラの時より、長二度上げて調弦します。つまり、in D(ドの音を弾くとレの 音が出る)の楽器になります。
ハイドンやモーツアルトの時代にも、ソリストと呼ばれる人が数名いたのですが、当 時は、自分達で弾きやすい様に、三度調弦や、四度調弦を工夫して演奏していた様です。

◎オーケストラの中で…
 オーケストラの中では、常に最低音を受け持つ縁の下の力持ちというのが、一般的 なイメージなんではないでしょうか?
 ほとんどの曲が、チェロと同じ動きをしてチェロがメロディーを受け持ってもコン トラバスは、それまでと同じ動きをしている。しかし、オーケストラの中で、コント ラバスにソロを持たせた曲が数曲あるので、紹介したいと思います。

機会があれば、聞いてみてください。 つづく


【コントラバスの項  終わり】


【indexにもどる】