1997/10/31
<やっぱりヒリヤードはスゴかった!!!>

(今回の担当:BASS 長井洋一)

10月30(木)のザ・フェニックスホールでのヒリヤードアンサンブルの演奏会を聞いてきました。リーダー格のポール・ヒリヤーが抜けてからのヒリヤードは初めてでした。(最近は指揮をすることが多くなり、実際に歌わなくなりましたね。)
実は私の気持ちの中ではこのメンバーの入れ替わりが吉とでるか凶とでるか、期待と不安が交錯していたんです。私もアウローラムジカーレでバスを歌っている手前、バスの声にはうるさいんですが、実はポール・ヒリヤーはあまりいいと思ってなかったんです。
隠さずに言いますと、イギリスのバスの歌手はどうしてあんなに「ごりごり」鳴 らすのか不思議でならなかったんです。デヴィッド・◯ー◯◯しかりマイケル・◯○ ー◯しかり。はっきり言ってテナーから上の声部の響きがとても肌触りがいいのに、バスだけが、がさがさしていて浮いて聞こえるんです。ですから今日のゴードン・ジョーンズがどんな歌を歌うのか、最初の興味はここにありました。(CDでは歌ってますが、やっぱり生で聴かないと判断できないので。)
結論から言いますと、よかったです。以前のヒリヤードも悪くはなかったですが、 バスが変わったことによりヒリヤードは生まれ変わったと思いました。繊細な和音が ホールを包んでいました。演奏者が出している実音以外の倍音がずっと鳴ってました。本当に正確な音程をとらないとこんな事は起こりません。しびれました。
これこそ、人間の声でした。この音こそ、人間の英知の結集された音でした。
すいません、つい興奮してしまいまして、やはり曲についても書かないとだめですよ ね。
今日の演奏曲は大きく2つに分けられます。現代曲と中世ルネッサンスの曲でし た。このあいだの時代の曲は全くありませんでした。
私の印象としましては、現代曲がとてもよかったんです。数ヘルツの音の違いを見事に示した神業に近いものもありました。ところが以外と古典ものの方がしっくりこない部分があったんです、ふしぎですね?。でもこのことはHPでお馴染みのうちのカウンターの上田君も言ってましたから私の聞き間違えではなさそうです。ヒリヤードをもってしてもやっぱりポリフォニーは難しいんですね。とは言ってもこれほどしっかりしたポリフォニーは滅多に聞けませんが。

私はいままでいろんなヴォーカル・アンサンブルを聴きに行きました。しかし、ど うゆうわけか、今日のような印象を受けるグループが減ってきてるんです。私がこの ようなヴォーカル・アンサンブルを初めて聴いたのは15年ぐらい前(20歳)の時 でした。グループ名は「プロ・カンツィオーネ・アンティークァ」。この時のこの団 体の演奏はとても良かったのを記憶しています。(もちろんバスは上記の通りですが)
それが今年来日して、京都のアルティで演奏会がありまして、私どもの合唱団員が多数行ったのですが、どうももう一つ、いやもう二つだったようです(今日の演奏会は私どもの合唱団員も大拍手でした)。
また、外国から鳴り物入りでやってきたヴォーカル・アンサンブルも合唱団もたくさんありますが、これほどしっかりとした音楽は聴かせてくれませんでした。
その意味でヒリヤードは“最後の砦”だったんです。
ここがダメなら、もうどうしよう?と言う気持ちでした。(あと良かったのは、ジャヌカン・アンサンブルぐらいかな)その意味で本当にほっとしました。
私は手が腫れ上がるぐらい拍手をし、ヒリヤードも4曲もアンコールに答えてくれました。

今日の演奏会はいろんな意味で有意義でした。

特に、ジョン・ポッターは最高やった!!この繊細かつ豊かな表現力に感動!!


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