1997/11/25
<東京公演を終えて>

(今回の担当:SOP.内浜幸恵)

SOPの内浜と申します。
11/18(火)に第4回東京公演を行いました。
昨年から定期で行うことになり、2度目のカザルスホールでの演奏会でした。

今年は平日だった為、お客様の入りが少し心配だったのですが、直前の数日間や 当日にチケットを買って下さる方が多く、予想を上回る方々に聴いていただくこと ができました。このホームページをご覧になって、初めて聴きに来て下さった方も、いらっしゃると思います!
これは、本当に嬉しい限りです!
お客様と、あの空間の中で、一緒に「音楽」を創造できた、本当に幸せな一夜でした。
(本当によく聴いて頂いたと思います!)どうもありがとうございました。
アンケートも多数いただいたのですが、もしまだお持ちの方がいらっしゃいましたら、 是非、ご感想をお待ちしています!

さて、普段でも、やや多めのプログラムなのに、年に1度の東京公演ですから、(?)
張り切って(!) より盛り沢山なプログラムとなりました。

まずは、シュッツの「ドイツ・マニフィカート」から、始まりました。
ちょっと、私たちも、お客さまも、ちょっと緊張していたかもしれません。(実は私 だけかも) 私は、「第一の目」に声を当てることに必死でした。おでこに、目があるつもりで、 そこにめがけて、声を集めて歌うと、ピンと立った響きになることが、数日前の練習 で、分かりました。それを、「第一の目」と呼んでいます。
シュッツ合唱団らしい響きがお届けできたでしょうか・・・。

次に、T.タリスの「エレミア哀歌」。 これは、各パート3または4人という構成で した。
この曲を、私は控え室や、ロビーで聴いていました。
強い精神を持った生き物が、静かに、美しくしなやかに動き、ぐいぐいとすすんでゆ くような、 そんな音楽でした。

続く、F.ディーリアス「夏の夜に水の上で歌われる2つの歌」、B.ブリテン「聖セ シリア賛歌」 「5つの花の歌」は、室内合唱団員での演奏でした。エネルギッシュで、密度の濃ゆ い演奏で、 どんどん、ホール中が、熱くなっていくのが、ロビーでいても分かりました。 ソロもみんな、すごく良かった。

そうして、後半の 柴田 南雄「無限曠野」。
この曲は、合唱団全員で歌いました。
3月に関西初演をしてから、3度目です。初回と同じく、暗譜でした。
当間先生の指揮は、これまた、練習の時と違う「本番」の棒でした。(当たり前ですが・・)
私は、一瞬一瞬、本当にフレッシュに、歌に出てくる人物や、風景を思い浮かべながら、歌うことができました。
柴田先生が、客席に座って聴いて下さっていた様な気がしました。

終曲の「大白道」では、女声が客席にまで、下りていって、それぞれが1人 のお客さんに向かって、草野 心平の詩を伝え語るという演出でした。お客さんがど んな反応をされるか、とても、どきどきしました。なかには、ひざまづいて、同じ目 線で見つめられ、語られたりするんですから。(かなり、恐かったと思います・・。) 私が、伝え語ろうとした方は、最初はびっくりされ、よそを向かれていたのですが、 そのうち、じっと私の目を見て聞いて下さいました。なにかが通じたような瞬間を感 じました。
こうして、最後は、男声が1列になってホールから出て行くのを女声が目で追いなが ら、語り終えて終了となりました。

この後、アンコールは、柴田 南雄「3つの無伴奏混声合唱曲」より「風」を歌い、 合唱団員の最後の1人が、舞台を下りるまで、熱い拍手をいただきました。

この後のことも、沢山書きたいのですが、レセプションのことは、
当間先生の日記を ご覧下さいね!

すべてが終わって、ほっとした時、
ふと、「ひかりはたもち、その電燈は、失われ・・・」

9月に演奏した、柴田先生の「自然について」にでてくる宮沢賢治の詩「春と修羅」の一節が浮かんできました。
作曲者から発せられたエネルギーが、私たち演奏者とお客さんに影響して、また大きな エネルギーとなって、ものすごいものができたんじゃないかなって、思いました。

これは、絶対CDにしたいです!!
あのエネルギーは、録音取りの極度の緊張を、見事に吹き飛ばしてくれました。
所々、“事故”(あとで自己申告があるのです。ちょっとズレたり・・・やちゃった・・・と)が起こっていたらしく、音源をチェックしなければいけませんが、でも、 あの空間は、是非、CDとして残したいと思いました。
週末の合宿で、決定するのではないかと思います。

来年の春頃、CD店に、柴田 南雄「その響き 3」が並んでいることをご期待下さい !!


Back

Next