1998/8/28
<決戦! 巨大怪獣 Berliner Dom 現る(笑)>

(今回の担当:CT.池内茂)

この日、8/9(日)はベルリン大聖堂での演奏会です。
前日のBurgでの演奏会場の何倍もの大きさで、会場を見る前から
「ホールに負けてしまうんじゃないか」との声も・・・。
しかーし、どんなに広くても、玉砕覚悟で全力を尽くしてがんばるぞ!
(おいおい、玉砕したらあかんがな・・・(^^;) )

てなわけで演奏旅行記ベルリン編スタートです。

題名「決戦! 巨大怪獣 Berliner Dom 現る(笑)」

午前中の声だしも終えると、バスで移動開始。

ベルリンは私にとっても非常に思い出深いところなので、到着が楽しみです。

  前々回の演奏旅行でベルリンを初めて訪れたときは、ベルリンの壁が
  ブランデンブルグ門を境に、一歩(旧)東側にすすむと、そこには
  (当然ながら)けばけばしい広告、看板などもなく、低い灰色の建物が
  均一に、整然と並んでいる、今まで見たことの無かった一種不思議な光景が
  広がっていました。
  車や人も少なく、時間がそこだけ停まっているようにも感じました。
  (このように感じたのは私だけなのかもしれませんが・・・)
  そのあまりの異質さに、鳥肌が立ったことが思い出されます。

  またその一方で、自分が今まで見てきた(西側)ベルリンはもちろん、
  日本やそのほかの土地の、混沌とした猥雑さを強く意識しました。

私があの時見た光景は、今どう変わっているのでしょうか?

さて、バスは1時間ほどでベルリン市内に入り、あのブランデンブルグ門付近を
通過しました。
そこに広がるのは・・・道には多くの人や車が行き来し、派手な看板やショー ウィンドウ、また改装した、あるいは建築中のビル群でした。
あちこちに工事車両や標識が見え、まるで町中が工事中のようです。

以前訪れた東ベルリンとは、まるで別の町のようです。
ある程度は想像していましたがこんなに変わっているとは。

最初から話が音楽以外のところに行ってしまいました。戻しましょう。
バスはベルリン大聖堂前に到着しました。
外観を見てびっくり、さらに中を見てびっくり!
でかい、でかすぎる〜!
昨日演奏したBurgの教会がまるごと2つ入ってまだ余るほどの大聖堂です。
例えて言うなら大阪 京橋のIMPビルが丸ごと3つ横に並べて入ってまだ余る・・・
東京はカザルスホールがえーっと・・・丸ごと10個以上は入るんじゃないかと
思うぐらいの大きさ(この場合は容積)でした。(計ってないけど)
オルガンもなんだかこちらのスケール感覚が狂ってしまうほどの大きさです。

こんなところで歌っても響かないんじゃないかと思いつつも、ゲネが始まりました。
すると以外や以外、結構響く響く(残響4〜5秒)、また音がすみずみまで飛ぶ飛ぶ。

  実際には、ここまで響く/飛ぶのはシュッツ合唱団だからかもしれません。
  日本で良くある全体的に暗い響きの声ではこうは行かないようにも思います。
  やはり張り、芯があり、輝かしい響きの声でないと、こうはいかないのでは?
  こちらで演奏する度に、(手前味噌かもしれませんが)シュッツ合唱団の響き
  作りの方向が、決して間違ったものでは無いことを強く感じます。
  (ちょっと偉そう)

良く響くこの場所に合わせて急遽プログラムを変更し(プーランクの曲をいくつか 差し替え、A.ペルトのMagnificatを追加)つつ、ゲネがすすんでいきます。
その間、足を止めて聞き入る人がだんだん増え、曲が終わると拍手してく れる人たちも増えてきていました。合唱団も次第に本番同様のノリに・・・。
途中、2回目の演奏旅行で通訳としてお世話になった信子・プーアマンさんが 偶然その場に居合わせ、全く突然の(運命的とも言える)再会を果たすなどの イベント(笑)をはさみながら、ゲネが終了。
会場のだだっぴろさも、どうやら問題なさそうだと言う手応えを感じます。

そして30分強の短い休憩の後、すぐ本番。(ゲネを含めてまるで2回公演の ようです)

最初の数曲の間、お客さんの反応は、どうも「戸惑って」いるような感じ。
それがバッハやペルトで変わってきました。
特にペルトのMagnificat後は拍手も多く頂き、好反応。
この曲、実はこの場所のために作曲されているんですよね。歌っていても強く そのことを感じました。どう説明していいのか良くわかりませんが、この聖堂の 響き具合を想定して作曲されているのが良くわかります。

数曲はさまれるオルガン曲も、楽器/演奏ともにすばらしく、
 (後で聴くところによるとこのオルガン、100以上ものストップがあり、
  ストップ操作には2人の助手がついたとか・・・。)
歌っている側もますますノッて、一気に追分節考、そしてアンコール。
最後のブラームス "Abschied Lied"が流れると、泣き伏してしまったお客さんも
おられました。

とても疲れましたが、演奏する側にとっても非常に楽しい演奏会でした。
演奏会自体が15:00から始まった事もあり、外はまだ明るい。
ドームから少々歩いて行ったビアハウスで飲んだビールが、またとても おいしかったことは言うまでもありません。


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