1998/10/14
<「2大レクイエムの夕べ」を終えて>

(今回の担当:ALT.広瀬あゆみ)

前回の「邦人合唱曲シリーズ」のコンサートが終わり、ふう、と落ち着く暇もなく怒濤のように始まった「2大レクイエムの夕べ」の練習。

フォーレと、モーツアルトの2つの「レクイエム」を一挙に演奏するというスペシャル特番のような演奏会です。
友人に言っても、「えーー、普通は、それぞれ別々でもちゃんとしたコンサート出来るんじゃないの?」と、びっくりされました。
そう、そうなんですよね。
改めて私もビックリ。

しかし、もっとビックリすることが・・・。
質問:さて、邦人が終わってから2大レクイエムの本番まで、何日でしょう。

答え:3週間です。

なんですと?
3週間で、あの大曲を2曲とも歌えるようにしなくてはいけないのですか・・・??
(楽譜を手に持ち、固まる私。)

実は私は、今年の3月に入団した若輩者で、しかも、音楽経験がほぼゼロに等しい未熟者なのです。
最初は「シャープとフラットって、どっちが半音上がるんだっけ?」なんて友人に質問していた素人姉ちゃんなんです。

出来るだろうか・・・。

これまでも、「銀河街道」や「雨ニモマケズ」を歌わせていただいてるんですけど、
それとは、また量も時間も違いすぎる・・・。

私には無理なんじゃないの??
練習テープと楽譜を見つめて、ずずずーーーーんと暗くなる私。
練習テープを再生すると、そこでは、他の団員の方がとても素晴らしい響きを出しています。

「・・・・ああ、こんな風に歌えたら、さぞ気持ちいいだろうなあ・・・。」

む?
そんなお気楽なことを言ってる場合か?
私の頭の中で、パチンと何かが弾けました。

そう、私にやる気をださせてくれたのは、みんなの響きだったのです。

私もこの合唱の中に入って歌わないといけないのではないのか??
私の背中を冷や汗が流れました。
(↑今頃何を言ってるんじゃ!と、是非突っ込んで下さい・・・。)
「と、とにかく、みんなの響きを台無しにするような歌は歌えない!!」
遅蒔きながら重大なことに気が付いた私は、慌てて楽譜をめくったのでした。
本当に遅蒔き人間で申し訳ありません・・・。

で、まあ、ちゃんとかどうかはわからないですけど、なんとか2曲とも舞台に乗ることが出来ました。

アルトの皆様には、本当にいろいろお世話になり、頭が上がらないです。
特に、「歌とは、みんなで一緒に歌うもの」と教えてくれたパートリーダーの上田さん。
そんな基本的なことさえわかっていなかった私を指導するのは、大変なことだったと思います。
「みんなの気配を感じること」
「みんなの息を読むこと」
「みんなの響きと合わせること」
そのことが、実際に理解できた舞台でした。
目から鱗が落ちた感じです。

本番の感想なんですけど、まず、フォーレの「レクイエム」。
凄く綺麗な曲でした。特にソプラノが美味しいパートが多くて、羨ましかったです。
途中にソプラノ・ソロが入るんですけど、これがまた、「天使の歌声」のような透明感のある綺麗な綺麗な声の山川さんが歌うものだから、本当に天上に声が届いて光がさしこんで来そうな感じでした。
私も、あんな風に歌える日が来るんでしょうか。夢のようなことを考える私・・・。

モーツアルトの「レクイエム」。
うって変わって激しい曲です。
「罪を許して下さい。」「どうか、どうか、助けて下さい。」っていう気分で歌いました。
死に迫られている切迫感、緊張感、そして助かりたいという切実な気持ち、という解釈で歌ったんですけど、本番では何度か音をはずしてしまい、別の意味での切迫感と緊張感が出てしまいました。
あああ、満足できる歌が歌えるのはいつになることでしょう。

さあ、次は東京公演と、ミサ・ソレだ!頑張るぞ、おーー!!


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