No.570 '04/9/30

9月〔Monthly Concert〕しっとりと艶っぽい弦


今年の気象は変ですね。
「マンスリー・コンサート」の昨日、またもや台風に見舞われました。
大阪に最接近する時間が午後9時頃と予報が言っています。
コンサートを決行するかどうか午前中迷い続けました。
来て下さるお客さんの帰りの足が気がかりです。
もしも、電車などが止まったら・・・・・・。

午後四時がリミットです。
事務所には問い合わせがあります。(「もし、行うのであれば出かけ行きます」とのお言葉。嬉しいですね。でも・・・・・)
ちょっと迷いましたが、4時、〔Go〕サインを出しました。
6時30分開場。お客さんが来て下さるんですね。
結局、少し少なめとはいえお客さんも来て下さり、演奏が終わった9時には雨風もおさまって(7時過ぎ激しい雨が降りました)、無事コンサートを終えることが出来ました。

8月はお休みだったのでほぼ2カ月ぶりの「マンスリー・コンサート」
ドイツでの演奏会、帰国してからの合唱団の忙しさなどで「SCO」のメンバーとも久しぶりに会います。
メンバーに音楽作りをまかせることが最近多くなっているのですが、今回はエルガーの「エレジー」と「弦楽セレナーデ」をどう作ってくるか楽しみにしていました。

プログラムの最初は二本のファゴットで始まります。
渡辺悦郎くんと滝本博之くんによる息のあった演奏(ドヴィエンヌの曲でした)はファゴットの魅力を十分に示せていたと思いますね。
こういった珍しい編成、曲を通じて音楽の多様性を楽しめるのは「マンスリー・コンサート」ならではでしょう。
プログラム二曲目は、フルート、チェンバロ、チェロによるバッハの組曲ハ短調(BWV997)。
この曲、実は原曲がリュート作品(と伝えられています)。
バッハ作品の中でも最も優れた作品の一つだとする学者もいて、興味ある楽曲です。(チェンバロのための作品とも考えられます)
それを編曲したものを聴かせてくれました。(フルート:山本恭平)
原曲の持ち味を充分に伝える演奏でした。それにしてもバッハの作品はどんな風に料理してもやはり「バッハ」として聞こえてくるのですね。スゴイです。

「SCO」による「弦楽合奏」がエルガーの「エレジー」「弦楽セレナーデ」でコンサート前半を締めくくります。
「弦」が魅力を増しました。
ふっくらとして艶っぽい響きを奏でます。
音の立ち上がりが揃い、フレーズを歌い込んでいくその流れはしっとりとして深い情感を滲ませます。
私が主宰する弦合奏を褒めすぎるのはどうかと思うのですが、本当に「魅力的な合奏」に成長してきていると思うのですね。
沢山の方に聴いて頂きたいと自信を持って言える「弦楽アンサンブル」となりました。

いつもと違って短めの休憩。(台風の接近が気になります)
後半は、また二本のファゴットの演奏で開始。今度は現代曲(ボザ)。しかしながらこの楽器の持つどこかユーモラスな音をいかした曲にお客さんもニコニコ。
「現代」アレルギーを払拭してもらいたいなぁ、と密かにエールを送っていた私です。

最後は「大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団」で日本語の曲を聴いて頂きました。
もう少し日本語にこだわるつもりです。
決してドイツ語を捨てたわけではありませんが(笑)、新しい、そして未来へ通じる日本語の響きを徹底して追求するつもりです。
今回、合唱団に要求したことは「響きの深さ、厚さ」です。
それを作り出すためにはちょっと身体での「コツ」がいるのですが、前日の練習時に要求しました。
一日でどう変わったか?
我が合唱団は「真面目です!」(笑)
やりましたね。特に女声が著しいです。
明澄な響きを保ちつつ、深みある響きも併せ持った声、そんな困難な響き作りにこれからも挑戦です。
合唱の魅力とは、言ってしまえば「人の魅力」。
明晰な頭脳、多感な感情、人間性に溢れた表現力が「声」を作ります。
「声」とは、つまり「人」なんですね。
人としての魅力、それが声となって響き合うのが合唱です。
まだまだ続く、新しい響き作りの「大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団」です。



No.570 '04/9/30「9月〔Monthly Concert〕しっとりと艶っぽい弦」終わり