No.586 '05/5/9

CD制作-録音現場


今ここに7枚のMDディスクがあります。
7日と8日の二日間にわたって録音した「アウローラ・ムジカーレ」&「SCO」の音源が記録されているものです。

マスターディスクは保管して頂いているのですが、これはどのテイクを取るかを決定するためのモニター用です。
これからこのMDを聴いてテイク決定し、CD制作へと進められていきます。

いつものように録音は一回録りで行いました。
つまり、部分録りをして後から編集するというプロセスは踏みません。
演奏はライブと同じ感覚で行わなければならないわけです。
これは演奏者にとって辛いでしょうね。
取り直しはできるものの、間違いや気に入らないところがあればまた最初から演奏し直しです。
録音のしかたもマイクは数本用意していただいていたのですが、結局、ホールの「吊りマイク」をメインとし、ステージ上のマイクはサブとして用いました。
できるだけ客席で聴いている感覚のものにしたいとの意図からです。
「ライブ」と同じ・・・・・しかし、マイクがあるとそういうわけにはいかないですね。(笑)
ステージには以下の写真のように置かれてありました。



「アウローラ・ムジカーレ」の面々は下のように並び録音を進めていきます。
今回、私は一度も振ることなく客席で聴いていました。
アドバイスするところもありましたが最小限でのものです。
「アンサンブル」の演奏は指揮者無しでするのが良いと私は思っています。
メンバーたちの「アンサンブル力」と「音楽性」で演奏されるものが、よりリアリティで音楽的なものになるからですね。
正真正銘、今度の演奏は彼らの「実力」です。
今まで培ってきた、そして「大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団」で積み上げられてきた私の音楽の枠のなかで彼らの音楽が羽ばたいています。
その意味では私と彼らの間違いのない「協同作業」と言っていいでしょう。



演奏者のバランス感覚が直接的に伝わるような録音にしていただきました。(録音スタッフの方々の協力には本当に感謝です)
どういうことかというとオペレーターによる操作はセッティング時のみ(今回適切なアドバイスを頂きました)、演奏中あるいはそれ以後の操作は無しということです。
パートのバランスは演奏者自身が感じ、演奏中においてコントロールされたものがいかされるということなんですね。
当たり前と言えば当たり前なのですが、これがなかなかできないでいるのが現在のCDです。

人の業としての結晶が収められたMDディスクがここにあります。
精神の営みが途切れることなく続けられる「時間芸術」がここにあります。
ここにある「音楽」は紛れのない彼らの生きる、精神の放たれる瞬間です。
それが収められているディスクを見ながら竦(すく)んでしまう私。
心込めて、テイク決めする覚悟です。

二日目「SCO」の録音。(作曲家の千原英喜氏が同席し、立ち会って頂いての録音です)
残念ながらその時の写真がありません。
私の持っているデジカメでは撮れませんでした。しっかり他のカメラで撮って頂いていますのでいずれ掲載しましょう。
いきなりCDジャケットで、ということになるかもしれませんが。(笑)
録音の仕方は「アウローラ・ムジカーレ」と同じですが、少し会場の響きも取り入れようとサブマイクを会場の後ろに増やしたことが違いでしょうか。
「アウローラ・ムジカーレ」は今回一曲が数分というものですから演奏のし直しも楽な面があります。
「SCO」の収録曲は一曲が10分を越えるものもあります。その精神的な負担は相当なものになったといえます。
しかし、私はあえて部分的な演奏のし直しをせず、楽章の「通しの演奏」をしてもらいました。
ここに「今」の「SCO」の演奏があります。
私が誇る弦の響きが「千原作品」に触発され(千原さんの作品、その響きが魅力的です。今回もその響きに圧倒され、「SCO」も貴重な体験となりました。メンバーもその響きが気に入ったようです)、豊潤さを増した演奏になったと思っています。
息ずく演奏になったと思うのですが、MDを聴くのが楽しみです。(テイク決めは来週になる予定です)

CD録音が終わりました。
それぞれのリリースは秋になる予定。
楽しみにして頂ければ嬉しいです。

No.586 '05/5/9「CD制作-録音現場」終わり