No.686 '11/08/23

第二回 男声合唱団「風童」演奏会


2011年8月21日(日)熱田文化小劇場で、第二回目の男声合唱団「風童」演奏会を催しました。
過密スケジュールの中での演奏会、正直言って充分な練習期間を取ることができなかったのですが、この合唱団の充実を目指して決断した演奏会でした。
内情はそういったことがあるのですが、結果は相当なる演奏ができたと自負します。

写真を見ても思うのですが、この合唱団、そのメンバー一人一人の個性の豊かさはなかなかのものですね
バラバラといいましょうか、風貌、風体、ホント揃っていません。(笑)
歌っているときも相当体を揺らしたりして動く者がいます。
自由な感じて良いのですが、見た目はちょっとね(笑)。

いましばらくお待ち下さい

次の顔はそれに対して不満や疑問を言っているわけではありません。(笑)
これは聴衆の雰囲気が少し硬いと思って私が喋りを始めた時の顔です。
「東海道四谷怪談」でのステージでは、その前に説明などしようと思っていたのですがその前に出てしまいました。
コンサートでの喋りはできるだけしたくないのですが(これ本当ですからね)、聴衆との間の空気次第ではついつい出て行ってしまうのですね。
コミュニケーションが取りたいのですね。お近づきになりたいのです。

振っていて気持ちが良かったです。
本番での演奏がやはり抜群の集中力を見せます。
どんどん変わっていきますし、演奏が進む毎に深まっていきます。 自由な雰囲気の中に統一されたものがある。
聴いていた関係者も口を揃えて言っていたのですが、段々と、どんどん「仲良し」になっていく演奏、ハーモニーだったと思うのですね。
声を張り上げるのでもなく、好き勝手に歌うのでもなく、歌わされるわけでもなく、皆が音楽が持つ魅力に向かって「音楽」が増していきます。
久しぶりの気持の良い指揮ができたと思います。

いましばらくお待ち下さい

さて、男声合唱の新しい様式を狙った前半のプログラムを終え、いよいよ千原英喜作曲「東海道四谷怪談」の舞台です。
合唱関係者の大半の皆さんはこの曲に興味を持っておられたようですね(演奏も演出も)。
さもあらん、ですね。
演奏前に千原さんと対談がしたかったのですが、残念ながらこの日は千原さんは北海道。
ちょっと寂しかったですが(笑)、一人で曲の説明をして(舞台下での喋りの中、北海道にいる千原さんに呼びかけていましたが)、・・・・。
「四谷怪談」、いや「千原怪談」の始まりです。

いましばらくお待ち下さい

照明演出の効果は抜群だったですね。照明プランを実現してくれたスタッフに感謝です。フットライトでの影、目くらましの正面ライト、それらが大きな音楽の節目をサポートしていたと思います。
暗闇を作りました。暗闇の中に浮かぶ仮面、人魂も出ました。(人魂の動きに演奏者が目を奪われて、歌の出るところを間違った者もいたと聞きます)

いましばらくお待ち下さい

さて、男声合唱団「風童」、第二回の演奏会が終わりました。
これからもこの合唱団の活動は続きます。
過密スケジュールの中での活動、次は来年でしょうか。
世界に誇れるような、新しい男声合唱の様式を作りたいとこれからもそのプログラミングから演奏内容に至るまで創り上げる努力をしていくつもりです。
応援して頂ければ嬉しいです。

以下に当日のプラグラムから、「演奏にあたって」の私の拙文を転載しておきます。よろしければお読み頂ければ幸いです。

[以下転載文]

「風童」第二回演奏会にあたって

一つの合唱団を創るというのは難しい。 ただ集まって歌う、というならばそうでもないと思うのですが、「歌」としての魂を吹き込むためにはそのための当然ながら時間と労力が必要。
男声合唱団を新しく組織したのはそういった演奏会をしたいがため。
そしてもう一つ、目的は個人の向上ばかりでなく、所属している合唱団にとってもプラスとなるように、そんな気持ちが強くて男声合唱団「風童」を創りました。
核になっているのは「大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団」の男声です。
そこに私が指揮する団体(「京都C・モンテヴェルディ合唱団」、「名古屋ビクトリア合唱団」)が加わって組織されています。

しかし、「言うは易く行うは難し」です。
各団の超多忙なスケジュールを調整しての活動。練習も思ったように組めなかったりするわけです。
今回は第一回目以上の過密スケジュールの中をすり抜けて今日を迎えました。
さて、内容はお聴き下さる皆様の感想を待たなければならないのですが、このスケジュールでこその充実感と成果があるのもまた事実。
彼らたちの紡ぐ男声の響きを是非とも楽しんで頂ければと思います。

今回はロマン派からのアプローチです。
固定した感のある「ロマン派トーン」ですが、それらとは少し違った響きを目指しての取り組みとしました。これは発声の問題ではなく、様式感の違いが大きいと思っています。「響き」から「言葉」へ。これが要点でしょう。
上田真樹さんの抒情歌メドレーはなかなか楽しい曲ではあるのですが、どうも合唱団、真面目が勝ちすぎて「風童」の新たな課題です。
「季節へのまなざし」、荻久保和明さんの曲はいつになっても演奏したくなる曲です。
彼が「男声合唱」が得意となればやはりこれを演奏しなくてはならないでしょう。
混声は幾度と演奏会にかけましたが、男声では初めての私の取り組みです。
勢い、音楽が突き進んでいきます。リズムが跳ねてハーモニーが熱くなり思いが溢れんばかりの音楽。今しばらく私は「荻久保」に焦点を合わせるつもりです。
さて、最後に控えているのは千原英喜「東海道四谷怪談」です。
なんともはや、千原さんの頭の中は本当にイメージたっぷりなのですね。
今度は「怪談もの」ときました。初演は今年なされたもの。その後に直ぐに私が演奏するのはちょっと珍しいことと思います。
この作品に大いに興味をもったからですね。
これは一応、あの「四谷怪談」を基にしていますが、内容は「千原版怪談の世界」でしょう。
第二曲目の最初、千原さん自身の言葉による口上があります。そして奇想天外な合唱団によるパフォーマンスが繰り広げられます。
「音楽作品」ではあるのですが、千原さんの世界はそれを超えて大きな怪談世界となりました。
ギリギリ、音とパフォーマンスのコラボレーションでしょう。
「千原英喜」を知るにはやはりこの作品も外すわけにはいきません。
さて、今日の演奏いかがなものになるか、私自身興味津々なのですね。
夏の一夜、このようなステージもまた乙なものですね、そんな感想を頂けると嬉しく思います。

これからも男声合唱団「風童」の演奏は続きます。
新しい男声合唱の様式を摸索したいと思います。
忙しいスケジュールのなか、またまた熱い練習が繰り広げられて皆様に楽しんで頂ける演奏にしたいと思っています。
皆様のご声援を頂ければこれほどに嬉しいことはありません。
どうぞよろしくお願いします。

[以上転載文]

No.686 '11/08/23「第二回 男声合唱団「風童」演奏会」終わり