「大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団」コーアマスターの倉橋史子が客席で聴いた感想を書いてくれました。

 

「お客様は満席。最初は普通の演奏会な空気が流れていました(いつもこの教会での演奏会は教会の信者さんや教会の関係者の方が多いとのお話でした)

一曲目のオルガンとテノールのフレスコバルディもオルガンとテノールが融け合い、やわらかく神秘的な響きに包まれました。

悠久の音というものがあるならこの音の事が…?と思う演奏。どこか懐かしい温かい音楽でした。

次の二階後ろからの演奏の途中から、客席の空気が変わり始め、目を閉じて聴き入る人、天を仰ぐ人、後ろを振りかえる人、会場の空気が静かに動き始めました。

そして正面に皆さんが並んだ時の大きな拍手はもうご存知の通りで、どんな人達が歌っているのか?と現れるのを待たれていた雰囲気でした。

音に対する反応が鋭く感性豊か、音楽を本当に楽しむ術をよく知っておられる雰囲気でした。

客席から日本人のお客さん(マントヴァに40年お住まいの画家の方)を通じての質問は「このメンバーは学生かそれとも働いているか」(学生さんもいるし働いている人もいると答えました)

伝言ゲームの様に横伝えで「本当に上手」と私の所まで伝えて下さいます。

「松原晴美というのは男か女か()」「次に歌う曲はどういう曲か(千原作品の前に)」「今日はこのマントヴァで3つも演奏会があるのにここは沢山お客さんがいて良かったねえ。

でもなぜこんなに沢山なんだろう?(マントヴァでの演奏会は9時以降でないとお客さんは来ないと画家の方が言われていました。

夕食をゆっくりとってから寝る前に家族、皆で演奏会に行こうというのがひとつの習慣だそうです(だから8時台の演奏会だとお客さんはいませんよと言われていました)。だから遅いなあと思っていた9時開始というのがやっと納得出来ました)

「ルネッサンス、宗教曲専門の合唱団か?(あとで千原作品、柴田作品の演奏を聴き、ルネッサンスから現代まで幅広いと解って頂けた様でした」

6声のマニフィカートでは「本当に難しい事をやっている!それなのにすごい!」と言われていました(私がヒヤッとした後半の少しズレかけた所も、それも「ライブ」として楽しんでおられた感じでした。本当にいい方達でした)

 

「天地始之事」の内容は訊かれたので隠れキリシタンの話を少し通訳してもらい、曲が始まると冒頭で「グレゴリアン!(おお、これはグレゴリアン)」と言われ、掛け声や鈴の音がすると皆さん敏感に瞬時にそちらの方向を見られて楽しんでおられました。

「天地始之事」はこの会場で日本語の言葉もクリアによくわかり美しかったです。

(私が言う事は隣の画家の方が通訳して隣や前に伝言されていて、頷いたり、また解説を読み返したり、そしたらまた質問が返ってきたり興味津々という感じでした。「本当に素晴らしい合唱だ」というのも何度も、わざわざ伝言がまわってきて嬉しかったです)

「追分」では基音の番号の札が上がると、指を指して「Uno!Uno!」「Due!」と興味津々()。横を通っていく男性達も骨太な反りソリスティックな声が出ていてどのメンバーの方もカッコよく、スタッフとして座っている私に、「すごいすごい」と何度も伝言がやって来るのが誇らしかったです。

女声の基音も、きっと振り絞り続けないといけなかったかもしれませんが、空間を満たしよく混ざり、バッチリでした。

最後のスタンディングオベィションの時は本当に嬉しかったです。

(私の周りは喜び満面!興奮!が全開な様子でしたが、後でRoccoさんに聞くと泣いていた方もおられたと言っていました)

演奏会終了後、本当に素晴らしかった!と沢山の方々から声をかけられました。「これあげる」とお庭から摘んでこられたバラを一輪頂いたり、言葉は通じずとも同じ空間で音楽を共有した一体感の様なものが満ちていました。

ピアノからフォルテ、フレーズの最後の終わりの音の響きまで、神経の行き届いた誠実な心の音楽が届いていた第一日目の演奏会でした。

次に山本真美さんの感想です。我がメーリングリストに投稿した原稿、許可を経て掲載します。

演奏旅行中、私は主にオルガンのアシスタントとCD売り場を担当させていただいていたのですがとにかく欧州の方々は一枚のCDを買うのにもたくさん話をされて買われていくので皆さんの感動がじかに聞けてとても楽しかったです!!

 

それではそのCD売り場の様子の一部をご報告しておきます。

 

Mantova

 

こちらの演奏会は、演奏が始まる前からCD売り場が賑わっていました。CD販売はドイツでもしたのですがこんなことは初めてです。

きっと、期待感一杯で集まってきたお客さんだったのかな?

さらに、演奏が進むとともに感動が溢れて終演後はお客さんがひっきりなしに訪れて大変なにぎわいでした。

Tシャツも好評で、教会関係のおばさまでしょうか、一枚進呈すると、大喜びで抱きしめて下さいました(^-^)

売れ筋は

追分(皆さん、あの歩きながら歌った曲は?と聞いてきます)千原、ジャーマン、またモンテヴェルディの問い合わせも多かったのですがこれは収録したものがなく残念でした。

でも、なかにはこんな方も「日本のCDはいつも高いんだよね。車だってね」思わず「でも品質はいいでしょ。安全だしエコだし。」と言い返すと黙りましたが。

あと、教会関係のおじさんでしょうかこんなやりとりも

「いいバジリカだろう。 今日はお客さんも一杯でよかったね。 僕はお客さんが段差でつまづかないように注意する係なんだけど 今日は大忙しだよ〜(すべてイタリア語、でも多分こんな感じ)」