八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.25


【掲載:2014/04/03(木曜日)】

やいま千思万想(第25回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

[料理と同じく大事な接客サービス]

 改めて石垣島を見つめます。
石垣が大切で大好き人間としてはこの島の発展には何が必要なのか、真剣に見つめたいと思っています。
訪れる度に大きく変化している石垣島。
何を新しくし、何を残すべきか。本土のように現代世界最先端を目指す社会が、自国の文化の尊重、存続と保存をと叫ばれねばならず、喘ぎ、息のしにくい飽和状態に陥っていると感じる私にとって、石垣はまだまだ人間の息できる場所です。
その島が未来で後悔することのないように、内地の前轍(ぜんてつ)を踏むことなく繁栄して欲しいと強く私は願うのですね。
この2月と3月、島に滞在して思いました。
島を恒久的に繁栄させるものとは何か。
「自然環境」であることは間違いありません。
生活の全てを規定するものだからですね。
それを前提とすれば、その自然から生み出された島独自の特産品作りとその活かし方がカギだと言えます。

 先ずは人間にとって欠かすことのできない「食」を考えましょう。
観光客だけを相手にしては心許ないですね。
やはり恒久的にと考えるならば地域の食の場でもなければなりません。
地元の人がよく訪れる場、住民にとっても刺激に満ち、賑わいあるお店、様々な人たちの出会いで日々活気ある場。
もし、その場所で食を通じて互いに交流できるとなればそれは大きな観光スポットとなること請け合いです。

 「島の特産、島ならではの食材を活かす料理」を出すことが一番です。
地元の方も美味しい調理の仕方、味に触れる料理ですね。
今回、石垣牛が随分前面に出て来ていたとの印象。
では山羊の料理も、と思うのですがいかがでしょう。
私は「バンナ公園」に向かう県道208号線沿いの店で山羊そばを食べるのですが、美味しいですね。
印象に残る料理、それは昼食に何度も訪れた大川交番近くにある体に優しい家庭料理。
県道390号線沿いの島野菜を素材にして眺望のテラスで頂く料理とカフェ。
前回にも書いた崎枝のハーブを活かした食事。
そして川平で味わう「ヨモギ麺」のお店はもう私の行き付けの店となっています。

 石垣は内地の人たちが随分と多く移って来ていますね。
内地の食材を内地風に出すというのも一つの嗜好かもしれませんが、それだけでは市民権は得られないのではないかと私には思われます。
食材は地元、それを元に料理、創作するという姿勢が〈地元に根を張る〉ということだと思うのですね。
 「郷に入っては郷に従え」の習いです。
大事な事を書きますね。
それは美味しい料理と同じぐらいに大事な事、つまり接客サービス。
やはり人ですね。対話、コミュニケーションこそ、賑わいの秘訣です。
自由な雰囲気、ゆとり、丁寧、笑顔、真摯な姿勢、それらを示すことで料理もまた映えるというものです。
 新川のフクロウが飾ってある店にその妙味を今回観ました。
食材、調理、そして接客と、帰阪の今も心に残っています。
地元と他文化のコラボ、その妙味ですね。
次回は食以外の特産のことを。
(この項まだ続きます)





戻る戻る ホームホーム 次へ次へ