八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.26


【掲載:2014/04/17(木曜日)】

やいま千思万想(第26回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

[島の財産は「自然」「人」「創造品(モノ)」]

 観光の目玉となるのは食べ物や飲食店だけではなく、思い出の品として自宅に持ち帰り、ゆっくりと愉しむといった物も大事な目玉商品です。
特に島特産の器や装飾品が人気商品ですね。
私の合唱団のメンバーも島の隅々まで調べ尽くしてお店に赴いて購入する、その行動力には本当に頭が下がる思いですが、それほどに買い物は素晴らしいもののようです。
購入には当節、インターネット販売もあって島まで来なくても手に入れることができます。
しかしやはり現地で品物に触れ、確かめての購入は喜びも感激もひとしおです。
インターネットで下調べをし、島に来て直接購入するというのがメンバーの島の楽しみ方のようなんですね。
お店に行けば制作者に直接お話を伺えるという特典も付くかも知れないですしね。
趣味は人間の活きる愉悦(ゆえつ)です。
私は収納雑貨、鞄類には目がないのですが行く先々での買い物で今では家の中はそれらで一杯になっています。足の踏み場もないというのはあの様なことをいうのでしょう。

 さて本題に戻ります。
石垣島の将来にわたって大事な産業とは、自然の中で、自然と共に人が産み出すものですね。
それこそが島を潤す最高の手段に成り得ると思うのですがいかがでしょう。
メンバーに誘われて雑貨屋に出かけます。
お店に入り、そこにしかないものを手にするのは貴重な体験です。
また並べられた店主の感性が光る収集品が購買意欲を駆り立ててくれたりもします。
「手作り」の魅力、あるいは「目利き」の魅力はそれだけでもう立派な文化だといってよいのではないでしょうか。

 もうひとつ、今回は「藍染」に興味を持ちました。
ユーグレナモールでデザイン的にも色合い的にもお気に入りのポーチを見つけて買ったのがきっかけです。
勢いで製作した農園まで出かけました。
八重山藍「ナンバンコマツナギ(南蛮駒繋)」、そしてフクギによる染めは充分に魅力的、既に立派な特産品ですね。
石垣島の藍染、これからも益々製品開発をして、全国的に普及することを期待したいです。

 また島では20を超えるほどに盛んとなっている陶器の工房も気になります。
作っていらっしゃる方々の魅力と共に存在感がずっしりと伝わってきますから。
個人的には土探しも興味が尽きません。
島の土で作るこだわりの陶器はそこに画かれる絵柄と共に島にはなくてはならない最高の美術品でもあります。
空想なのですが、何十年、何百年、何千年の未来で土の中から発見された考古学的文化遺産。
「21世紀の生活と文化度を識る上での貴重な発見」なんて想像しただけでも楽しく、嬉しくなってしまいますよね。

 島の財産は、「自然」と「人」だと再三書いてきました。
そこに人が自然と共に創る「創造品(モノ)」も入れておきましょう。
人は異文化を求めて旅します。
アイデンティティーと更なる新天地を求めて。
八重山は未来を開くクリエーターの新天地となって欲しい。そう思う私です。
(この項終わります)





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