八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.62


【掲載:2015/09/24(木曜日)】

やいま千思万想(第62回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

[さまざまな音世界 音律の話(その8)]

 さて少し厄介な話をします。
日本の音楽は「五音音階」によって成っているという話でした。
西欧の主流が「七音音階」であるのに対して日本は(国別、地域的に言えば日本だけではないのですが)「五音音階」、二つ音が少ないのですが、これが厄介の元なんですね。
少なければ解りやすいということもあるのですが、学問的には幾通りかの《可能性》にぶつかることになって、少しばかり複雑になり、思考が必要となります(考えなくてはならなくなって、解りにくさを伴います)。
今回は少し専門的になりますが、頭を使うその話をすることにしますね。

 日本の伝統的な音階は「五音音階」、いわゆるヨナ抜きである「ドレミソラド」です。ドから数えて四番目(ヨ)の「ファ」と七番目(ナ)の「シ」がない「五音音階」ですね。
しかし実際に旋律を作るためにはいつも「ドレミソラド」を使うわけではありません。つまりドから始まり、ドで終わる、ということではないのですね。
二番目の「レ」から始まる「レミソラド(レ)」という音階、三番目の「ミ」から始まる「ミソラドレ(ミ)」、四番目の「ソ」から始まる「ソラドレミ(ソ)」、そして五番目の「ラ」から始まる「ラドレミソ(ラ)」という5種類の音階を含んでいることになります(作られるという言い方もできますね)。
その中で、民謡やわらべ唄で圧倒的に用いられているのが、二番目の「レ」から始まる「レミソラド(レ)」の音階と、五番目の「ラ」から始まる「ラドレミソ(ラ)」という音階です。これが日本の音階と言って良いと思います。
この音階が「陽音階」と呼ばれるものです。(この名前も確定的に書くには少し説明がいるのですがここでは省きます)

 もう一つ日本には音階があります。「陽音階」に対して「陰音階」と呼ばれるもので「ドミファラシ」の音階。
この音階も音を並び替えて「ミファラシド(ミ)」、「ファラシドミ(ファ)、「ラシドミファ(ラ)」、「シドミファラ(シ)」の音階を含んでいるのですが、よく用いられているのが「シ」から始まる「シドミファラ(シ)」の音階とそれについで「ミ」から始まる「ミファラシド(ミ)」です。

 どの国にもあることですが、日本にも大きく分けて二つの種類があるとされます。
高貴な館、神聖な場で奏される音楽と、民衆、庶民によって奏される音楽です。
「雅楽」がそうですし、「都節」「田舎節」と呼ばれているものがそうですね。
これらの分け方は便利で解りやすいという一面もあるのですが、実践的には実際の演奏されている音に即して考えるもの、と私は思っています。(これらについてはまた書きます)

 どうですか?こんなの興味ありません?
しかし、音楽に使われる音階によって雰囲気が異なるのですね。
ということはそれぞれに意味があるというか、生活に依っているというか、心持ちが違うのですから音楽するにはこれらが大切なんですね。
(この項つづきます)





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