八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.86


【掲載:2016/09/22(木曜日)】

やいま千思万想(第86回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

身体(脳や筋肉)づくりは幼児期ににあり

 体力の衰えを感じます。いや、実感的に言えば筋肉の衰えでしょう。
しかしながら、その衰えを感じ始めたのは50代に入った頃からです(現在67歳になりました)。
それまでは筋肉の衰えなど全く意に介しなかったですね。今現在、同世代の方々と比べてみれば少しは筋肉があるように思うのですが、きっとそれは小さい頃に身に付けた筋肉に依るところ大だと思います。とにかくよく遊びました。
朝から夕方遅くまで、歩き、走り、飛び回る毎日。母親に毎日のように遅く帰ってくることを怒られていました。「勉強しなさい」、とは言わないのですが擦り傷や衣服の汚れ、友達の帰りを心配してのことだったと思います。
今思い出してもその頃の遊びって半端じゃなかったですね。
思えば今と違って、多くの空き地や、学校も解放されていて遊ぶ場所に困ったことがありません。
ただ、そういった場所でも他のグループとかち合ったときは困りものでしたが、そのような時もお互い上手にゆずり合って(子どもたち同士の巧みな約束事があったようです)確保していたように思います。
とにかくその頃の自然(遊び)の体力作りが、今に至っても最低限度の筋力を維持している要因だと思われます。「遊び」に感謝!

 最近、保育士の方と話をしたのですが、幼児の体力が以前に増して弱くなっているとの嘆きです。
私たちの世代には信じられないような事が起こっているようなのですね。
お母さんたちの心配性でしょう、子どもたちの活発な行動を良しとしない風潮があるようで、だからかもしれませんが、子ども自身も体を動かすことを躊躇し、何ごとに対しても積極的に興味を持って動き回ったり、冒険心を抱いて周りにとってはハラハラさせられるといった行動が少ないようなのです。
それを見ている大人たちも、子どもの動きに無関心だったりする人が多くなっている。
私たちの時代には、大人たちがにこやかに見ていて、危ないときには叱り、中には仲間に入ってくる人もいました(私たちにとっては少し迷惑だったようなのですが)。

 本土ではこの幼児における体力作りにもっと積極的に対処しなければならないとの認識が高まってきています。
8歳頃までには「脳」がその基本的な部分を作ってしまうようです。文部科学省教育課が平成21年(2009年)に出した論文では〈人間の脳は3歳までに80%、6歳までに90%、12歳までに100%完成〉だと述べています。人間形成が早い時期に終わっている、ということですし、その時期の教育の重要性が強調されています。
またそれは(子ども時代の初期では)、親や家族、その他の人との関係をつくるための対話や経験が脳の発達に大きな影響力を持っているということを示唆するものです。

基礎は出来てしまっている、しかし人は、いくつになっても筋肉も脳も鍛えられます。最近なるべく座らずに立つことにし、エレベーターやエスカレーターを使わず歩くことに。遅まきながらの私です。





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