八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.88


【掲載:2016/10/20(木曜日)】

やいま千思万想(第88回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

東奔西走はより良い活動の根っこ

 飛び回っています。
演奏会に向かって、その練習のために「飛び回っている」という表現が一番似合っている今日この頃です。
正確に言えばその移動に鉄道を用いていますし、足でその練習場へと向かうわけですからその性急さを表すには「走り回っている」と言った方がよいですね。
しかし、気分は「飛び回っている」です。
東京やその他の土地に行くには、鉄道より飛行機を使った方が疲れ方がましだと人はアドバイスしてくれるのですが、どうも飛行機が苦手な私はできるだけ地上を這うように、それも全速力で走るように移動してしまいます。

 「東奔西走(とうほんせいそう)」という言葉がありました。実に合っています。
四字熟語を調べてみれば、その他に「東行西走(とうこうせいそう)」「東走西奔(とうそうせいほん)」「南行北走(なんこうほくそう)」「周旋奔走(しゅうせんほんそう)」「南船北馬(なんせんほくば)」と、いろいろあります。
似たような言葉に「右往左往(うおうさおう)」というのがありますが、この意味との違いは面白いです。東奔西走の「奔」や「走」は走るという意味で、確実な目的と方向性とを持ち、スピード感も伝える言葉なのですが、右往左往は「右」に「左」にうろたえている様子が表されていて少し滑稽(こっけい)な感じです。
 対義語としての「泰然自若(たいぜんじじゃく)」「意気自如(いきじじょ)」「神色自若(しんしょくじじゃく)」といった振る舞いに成りたいものだとつくづく思うのですが、ままなりません。
1ヶ月に2〜3回の演奏会、時には1週間ごとの演奏会、月4回になることもあり、今年の夏7月、8月には京都、名古屋、東京で三日間づつ講座を開き、その上合唱団としての常の練習が「大阪コレギウム・ムジクム」(「大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団」&「大阪コレギウム・ムジクム合唱団」)、「東京コレギウム・ムジクム合唱団」「名古屋ビクトリア合唱団」「京都C.モンテヴェルディ合唱団」、その他に女声合唱(女声合唱団「りんどう」「コーロ羽衣」)と大学合唱団の2つ、そしてそれらの定期演奏会が勿論あり、また今年は客演の仕事(「同志社グリークラブOBシンガーズ」「明治大学グリークラブ」「大阪大学混声合唱団」「バッハアンサンブル富山」)も加わったりで、本当に東奔西走の毎日が続いています。
これらの団は大都会での活動です。やり易いこともあり、また人口が多いゆえの困難さも出てきます(沢山の小さな団がひしめき合って集客が難しい)。
 女声合唱団は地域の文化向上の役割を担うのですが、「りんどう」は兵庫県川西市で総人口約16万人、「コーロ羽衣」は大阪府高石市で総人口約6万人の中での活動となり、それは地域文化と直接向き合います。
そういった本土での活動を考える時、私の脳裏に浮かぶのは「石垣島」。
様々な要素の対比が、私の活動をより良いものとする根っこを築いていることに日毎気付かされています。





戻る戻る ホームホーム 次へ次へ