八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.93


【掲載:2017/01/05(木曜日)】

やいま千思万想(第93回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

生まれて初めての入院経験で見たものは

 年が改まりました。今年も皆様にとりまして良き年となりますよう祈願します。
不確かで不安定なことの多いこの世界、平安で平和な通常の生活が営まれますように。
そして今年もどうぞこのコラムを宜しくお願い致します。

 音楽を通じて「人間」を見つめたいと思っています。
人が人と関係を築き、互いの我欲の衝突でなく、皆が共存し、豊かな暮らしが営まれますように。
心身ともに健康に毎日が過ごせますように、と書く私。実は年末に、67歳にして生まれて初めての入院を経験。
病院に行くことも、医者にかかることもほぼなかった私が初めての入院、その体験は初めて尽くしの連続でした。
 そこで見聞きしたことは新鮮でしたね。そこには心服の「感動」の空間と、今の社会を垣間見てしまう「問題」の空間が共存です。
その入院の体験を今回は書きます。決して私事ではないと思うからですね。

 先ずは入院の経緯から。毎年忙しさが増していた私ですが、その中でも今年はこれまでに1番の過密スケジュール。
体が極度に疲れ、ストレスも溜まり、身体を解放する間も無く私の血管は硬く細くなって血流が悪くなっていたようです。
怒涛のようなスケジュールの中、2016年12月11日の演奏会当日、ついに症状が出ます 。
その翌日病院へ駆けつけます。
一年半前ごろから進行していたらしい「不安定狭心症」と診断され、即、カテーテル治療を開始。
カテーテルとは医療用に用いられる中空の柔らかい管のことで、それを胸や腹の血管などに挿入し、狭くなっている血管を広げようとする治療です。
私の心臓の筋肉(心筋)に酸素を供給している冠動脈を広げるための処置ですね。驚きました。治療には4時間かかったのですが、その間の医師たちの会話や手術の様子が全部見聞きできるのです。
麻酔はなく意識ある中での治療です。
その医師たちのチームの素晴らしさは特筆ものでした。
リーダーを中心にその連携プレイ、相談しながらの進め方も実に納得ができ、その担当医の高い技術と人柄で安心の中での治療でした。

 結果はと言えば、今、私の心臓の冠動脈には血管を広げるためのステントと呼ばれる金属が3つ挿入されています。
ステントは最近、性能や質が飛躍的に良くなったとのことで医師たちにとっても絶大な信頼の中で使用されているのだと聞かされました。

 「手術は大成功」、それが終わった時の第一声でした。
そのことは会話の中でも、終わった時のチームの誇らしげな表情を見ても確かなことだと判断できました。
手術が終わって入院です。
その時からですね、気になることが見えて来たのは。
それは看護師さんたちの動き。
私が見た医師たちの仕事ぶりと比べれば余りにも謎と理解できないことが多い状態でした。
それは個人的なことだけではなく全体の組織的な問題に依るものとも見えるのですが、患者と直接接する仕事だけに感じてしまうことが多かったです。
すみません、またまた紙面がなくなりました。その事は次回に書きます。





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