八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.94


【掲載:2017/01/19(木曜日)】

やいま千思万想(第94回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

生まれて初めての入院経験で見たものは(その2)

 さて、前号のコラムの続きです。
生まれて初めての入院経験の話でした。少し前号と重複しますが、入院に至るまでの様子を。
事の起こりは演奏中に背中側で起こった〈痛み〉とまではいかない〈違和感〉でした。
それがきっかけとなり、それまでにも私の体調を気にかけてくれていた、名古屋の合唱団員である医師たちのアドバイス、そしてタイミング良く撮ってくれた心電図が決定打となって、急遽病院に行くことに。

 訪れたのは彼らの推薦病院。
検査で「不安定狭心症」と診断され、緊急治療(カテーテル治療)を施すことになります。
結果、手術は成功し、現在では「問題なし」の状態なのですが、私の心臓を取り巻く血管には三つの、ステントと呼ばれる血管を拡張する管状の金属が現在入っています。
(しかしながら、その後も過密スケジュールが相変わらず続き、充分に休息を取ることなく今日に至っているのが現状。気を付けねば!なのですが)

 手術後、ただちに入院。
これは色々と考えさせられました。あの素晴らしかったカテーテル治療の医師チーム。手術前を含めてのその対応の機敏さ、患者への配慮には感心こそすれど、不安、不満というものなどは憶えません。
さすが、私の信頼する医師たちが推薦するだけの病院だったと、この病院嫌い、医師不信を吹き飛ばすほどの好印象です。
しかし、その後の入院は〈不満〉というほどのことではないのですが、〈不思議〉〈疑問〉の体験です。「これでいいのかなぁ?」という思い。
激務ですね。それは看護師の不足からくるのか、病院としての勤務態勢なのか、その問題性は想像できるのですが、しかしながら看護師たちの患者への対応に不安を覚えた数日間です。
まず、私にとって院内は初めて、その院内説明もおざなり。また看護師たちが頻繁に交代したのには驚きました。
顔が見えれば問題ないのですが、院内感染防止のため医師も看護師も常にマスク使用ですから顔の識別ができません。
胸には名札を付けていますが馴れないせいか、直ぐには読み取れません。
最初は名乗っていただけるのですが(マニュアル的ですが)、その後はありません。変わったのか、変わっていないかが判別しにくい(この時、必要最小限の会話は必要だと痛感)。
そして変わる度に、私に本人確認だけではない、同じ質問を繰り返します。
そして一番困ったことは、頼んだものが直ぐにはかなえられないことでした。
どうも伝言や情報が伝えられていないかのよう。その事が度々起こりました。
朝頼んだものが、必要も無くなった夕方になってから届けられる。これには閉口です。
初めての入院という経験。
個室での夜は静か。病院の建てられている環境も心落ち着くたたずまいです。しかし、看護師との対応には気が張りました。
批判じゃなく書いています。
どうしてあのようなことが起こるのか?患者からみれば大きな不安の事柄です。
患者の精神的な安堵感と結び付くのですから、何が問題なのかを考えてみたい貴重な経験でした。





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