八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.101


【掲載:2017/05/11(木曜日)】

やいま千思万想(第101回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

術後の演奏会に最善を尽くします

 先月、二週間入院を強いられていました。昨年12月に続いて二度目の入院です。
12月の折には(心臓の冠動脈へのカテーテル治療)、無理を言って四日間での退院。今回は二週間と長い(標準の期間だそうです)入院生活です。
「穿孔性(せんこうせい)虫垂炎」、いわゆる「盲腸」が原因です。私自身意外な感じがして少し慌てました。虫垂と一部の腸を摘出しました。
幸いだったのは両方とも「痛みを伴わない症状」だったことです。ひどくなる前の発見による手術でした。
ということでこのコラムも一回お休みをいただきました。67歳に至るまで大病も無く突っ走ってきた体からの信号ではないかと思っています。
これからも体をいたわりながら、まだまだやらなければならないことばかりの残りの人生を充実したものにしなければ、と思いを新たにする期間になりました。
スケジュールが比較的空いている合間を縫っての入院。このタイミングは計ったものか、それともラッキーなものであったのか。少し胸をなで下ろす事ではありました。
その二つの入院を経て、今では次への一歩へと進み始めています。

 今気になる一番大きな仕事、それは今月予定されている二つの演奏会。
一つは「名古屋ビクトリア合唱団」の定期演奏会。そしてもう一つはイタリアはマントヴァでの演奏会。
「名古屋ビクトリア合唱団」は、年々充実度を増し、注目を浴びる団の演奏会として外すことができません。
プログラムはモンテヴェルディの「六声のマニフィカト(聖母マリアの賛歌)」と、日本の作曲家の人気ある、または注目度の高い作品を取り上げています。
我が国でもなかなか聴くことができない曲目。意義有る演奏会だと自負します。

 そしてイタリアはマントヴァでの演奏。
今年生誕450を迎えるバロック期の作曲家である巨匠モンテヴェルディについてはすでにこのコラムでもご紹介を始めています。
彼の重要な奉職地であったマントヴァでは、街をあげてのミュージックフェスティバルが毎年開かれているのですが、生誕記念の年にあたり、我々がそこに招聘(しょうへい)されての演奏会です。
 日本からの参加は我々だけではないでしょうか。このフェスティバルのために各国から、各地から、多くの器楽奏者や声楽家、いくつかの合唱団が集まります。
街中が音楽で溢れるそうです。
街角で、劇場で、そして教会で。期間中、街のそこかしこで一日中音楽が聴かれます。
昨年その期間に訪れた我々のメンバーが本当に驚嘆したほどに音楽が満ち溢れていたそうです。
 歴史的にみれば音楽の先進国であったイタリア。当時各国の領主たちが、雇っていた音楽家をこぞってイタリアに留学させることで文化度を競っていた歴史があります。
現代に至るまで音楽を大切に保護し、国を挙げての文化活動と捉えて運営している伝統地でのフェスティバル開催。
 私のリハビリをそれらの演奏会に合わせて調整していかなくてはなりません。
正直、もう少し期間があればと思う私ですが最善を尽くすつもりです。





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