八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.117


【掲載:2018/01/25(木曜日)】

やいま千思万想(第117回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

30年続けてきた「音楽講座」の集いは楽しい

 私は音楽好きな人たちに向けて、音楽を聴く上で助けになればとの思いで「音楽講座」を月一回設けています。
場所は兵庫県南東部にある人口約15万人の川西市。
その施設である「男女参画センター」内の一室で開いています。
始まりは1988年6月で、川西市女性センターにおいて「たのしく音楽を聴くために」と題して講座を持ったことがきっかけ。
その後この会が引き継がれ「音楽鑑賞同好会」として発足しました。
もう30年も続いている「会」ということになります。
中心的に動いてくれているメンバーは私が指導する女声合唱団「りんどう」の人たちなのですが、その後市内の他の公民館でも依頼されてシリーズ化した「講座」も開いていますから、随分と川西市とは長く、そして深い関係を持つに至っています。

 川西市は大阪府との県境にある市です。
私が住む街とは距離的にとても近くにあり、その便利さもあって「講座」は長く続けられてきたのではないかと思います。
どの「講座」もそうでしたが、集まってくる人たちは無類の音楽好き。
クラシック音楽に関しては一言も二言も持っていらっしゃる方々で、相当な専門的知識もお有りです。
手応えは充分、内容も深く掘り下げたものになったこともあります。
さて、「講座」の中心的な存在である「音楽鑑賞同好会」では様々なテーマを設け、音楽やその歴史、また現代との関係など、名演奏として知られた曲のCDやDVDなどを使って私の持論を含めながら視聴していただいています。
そのための準備は大変なのですが、受講されている方々の興味津々のお顔を想像しながらですから、そう苦にはなりません。
マーラーの交響曲全曲鑑賞とか、バッハの大曲「マタイ受難曲」を受講する方々にスコア(総譜)を購入して頂いて一曲づつ解説するなど、通常では考えられないこともしてきました。
オペラも相当取り上げましたね。
オペラ発祥から現代の作品までその歴史を追い、時には他の演奏家との聴き比べもします。

 講座の始めには世評などニュース性に富んだ話から入り、常に我が国の音楽界を見据えての芸術論、文化論としてまとめることを課題としてきたようです。
娯楽性だけではなく、音楽の底に流れている思想なども知って頂ければとの思いからです。
ですからその内容は各国の音楽、そして我が国の民謡から演歌、わらべ唄に子守歌、流行歌、映画音楽、そしてダンス音楽に至る歴史などを含むことになりました。
その内容に対して30年という月日は長かったのか、短かかったのか?

 いよいよ次なる段階に入ろうと新たな取り組みをします。
とはいってもそんな難しいこと、厄介なことでなく、これまでの内容を踏まえて、いわゆる「音楽談義」を試みようとのこと。
これまでは私が一方的に喋り、選曲し、受講される方はそれらをただ聴く、といういわゆる「講義」として進めてきたものを「対話型」にしてみようとする案です。
さてどうなりますか。また楽しみの「会」となれば良いのですが。





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