八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.119


【掲載:2018/02/22(木曜日)】

やいま千思万想(第119回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

久しぶりに訪れた北海道のニセコは急激に大変身

 先日、北海道のスキー場として名高い「ニセコ」を久しぶり(2年が経ちました)に訪れました。
以前にも書いたと思うのですが、気になって仕方のない「ニセコ」です。
20年以上通っている町、そして訪れる度に変化が激しくて日本の町でこれほど外国化していくケースも珍しい。気になるのは当然だと思われます。

 まず最初の変化は、オーストラリアの人々によってもたらされました。
ニセコの目玉は、なんと言っても雪質の抜群の良さ。
スイスの本場からも訪れるという東洋一、いや世界的にも誇れるスキー場、そしてその前に凛とそびえ立つ蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山の景観。
評判は評判を呼び、それをまた誘致やコーディネイトする個人や会社があって、そしてどんどん人々が住み始め、土地も買われ、宿泊施設やお店などが並び始めたのです。
町は風景を一変させました。
スイスの本場からも訪れ、また「カナダに行ったけれど、ニセコの雪の方が良かった。」という人も現れて、今や東洋一、いや世界的にも誇れる雪質の良いスキー場としてスキーヤーや観光客が集まって来ています。
ゲレンデは勿論、路上で行き交う人、路線バスの中、飲食店、コンビニと、体格の良い人々が闊歩(かっぽ)しています。
町はこぞってこれを歓迎し、その経済的効果を受け入れての繁盛ぶり、というふうです。
そして今やニセコは、日本語が聞こえてこない町になりました。(私の滞在中もほとんど聞こえてこなかったです)

 そんな状況がしばらく続いたのですが、現在では更に現象は進み、あの町に溢れていたオーストラリアの人々は去り(原因はいくつかあるようですが)、それを待っていたかのように全世界から人々が訪れる町になりました。
中国、韓国、ヨーロッパ、そして東南アジアの国々の人々も増えているようです。
アラビア半島のペルシャ湾沿岸ドバイからも来ているらしいです。
それらの国のいわゆる富裕層がその中心となっているといいます。
その為なのか高級化した宿泊施設、それに合わせるかのように単価の高い飲食店が並びます。勿論ハイカー風の若者も見かけますが。
地価の高騰が激しく、想像を遥かに超える額になっていると聞きました。

 そんな事情をホテルや飲食店のオーナーなど知り合いの方々から聞くことができました。
「今では日本人による経営店はどんどん去り、数軒のみになってしまいました。
そしてこれからも外資系のホテルや店が立つ計画があって、町の外国化は今以上に加速していくでしょうね」と。
続いて出てきた話が少し私を緊張させます。
「それらの計画が町民の知らない間に決まっていくのです。
町民に知らされることなく事がすすめられて、聞きに行ってもはっきりしない。
答えがない。充分な説明がない、今では町民の声も行政に届かなくなって、どうしたものかと。
町民は先行きが見えなくなっているんです。」というのです。
気になって仕方ないニセコ。
今少し事を見守りたいと思いながら、静養の休暇スキーを終えました。





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