八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.1


【掲載:2013/04/21】

音楽旅歩き 第1回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

[730交差点で「我が内なる音楽」を見る]

 大阪に本拠を置き、京都、名古屋、東京と定期に演奏会を開いて約40年。
都会の喧騒の中での音楽作りはどこか心をすり減らしていくようで、息苦しくなってしまうこともしばしば。
 そのような折りにメンバーの一人に誘われて石垣へダイビングに来るようになって早16年目を迎えます。
 両親が沖縄那覇出身ということもあるのですが、八重山での音楽的興味も膨れ上がって毎年過密スケジュールを無理矢理空けてやってきます。
 海や山や草木の自然に魅了されたことは勿論なのですが、来る度にここに暮らす人々に惹きつけられる私。石垣が本当に好きになったのですね。

 24年前、西洋クラシック音楽一辺倒だった私に一大転換をさせた言葉が最初のヨーロッパでの演奏会後に発せられました。身に余る演奏評価を頂いた上で発せられたその言葉、「それでは貴方の国の音楽を聴かせてください」。私の心に重たく響く衝撃的な一言。

 それ以後、私の原点、足許の音楽、その発見と未来へと続く「我が内なる音楽」探しが今に至るまで続いています。
 音楽文化とは生活の中でこそ息づきます。凜として立つ巨木に継ぎ足した枝葉が、花を咲かせ、実を結ぶためには根っこと深く結びつかなければなりません。八重山の空気の中に、人々の中に、私は自身の根っこと未来を見ました。

 去年2012年、石垣島初の街角ライブの演奏が始まりました。
第一回目の演奏は3月23日、私の音楽仲間が地元歌手との協演と共に一声を発したのです。
 「730広場・交差点」の一角に集まった人々、通りすがりの人も足を止め、車の窓も開かれた中、熱いサウンドが響き渡ったのです。
 私の音楽活動の軌跡に、ここ八重山に「我が内なる音楽」を見た一時でした。
八重山の素晴らしさを綴ってみたいと思っています。
未来への可能性を深く探りたいと思いました。

*(訂正:2015/02/03)石垣へダイビングに来るようになったのはこの時点で18年になるそうです)





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