八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.7


【掲載:2013/06/23】

音楽旅歩き 第7回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

[踊りは生きる自由な姿、声は魂のダイナミズム]

 命の輝きは眩しい!人間の一生は決して長くはないけれど、その一瞬一瞬の命の刻みはときめいてこの世界にその息吹を放っています。
 動物たちも、そして植物だって息吹を放っていて、皆繋がって、皆生きています。
 命の連鎖は太古の昔から続き、未来永劫へ続こうとしています。連鎖を断ち切ってはなりません。
 人間は命を表現するために、リズムを生んで踊り始め、叫び始めました。
 即興的で自由なダイナミックな踊りを。
 思いの丈を発した叫び声を。

 カチャーシーを生んだ民族は逞しく、生命に溢れています。
 私はずっとそのことを尊敬と畏敬の念を持って見てきたように思います。
 この民族は命の尊厳と常に向き合っています。
 その文化が歴史がそうさせます。

 音楽での「踊り」と「叫び」は音楽の骨幹に及ぶ事柄です。
踊りは生きる自由な姿を、そして声は魂の深くて広いダイナミズムを。

 声の話をしましょう。人間には大きく分けて二種類の声の出し方があります。
地声と裏声がそれです。
地声は低く強く重い声で普通の喋りがその発声です。
とにかく力強いのが特徴でしょう。
裏声は最初は細く弱い声に聞こえるかもしれませんが、訓練して出せば最も遠くへ飛ばすにふさわしい声となります。
離れた仲間に何かを伝えようとするときや、歴史的な風習「歌垣」などの愛の歌い交わしのように地声と共に裏声を使って発すれば、ダイナミックな愛のメッセージとなること間違いありません。
 裏声は高い声。
 男も女も更なる高い声を目指して裏声へ。
 そして裏声の頂点まで突き抜けましょう。 命の輝きを表現する。それは命の刻みを輝かせること。全ての命の尊厳を賞賛すること。命の叫びを放ちましょう。自由に、高らかに、大地を踏み鳴らし、体を弾ませてリズムを刻みましょう。 6月23日、それは沖縄慰霊の日です。





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