八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.25


【掲載:2014/03/09】

音楽旅歩き 第25回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

[石垣は日本で有数の話題市に]

 飛行機の中で私の頭を占めていたのは日本のリズムでした。
西欧のリズムと日本のリズムは真逆の関係。
現代の若い人たちのリズム感が欧米のリズム感に追いつき、追い越しているのではないかとの思いも起こりつつ、一般の日本人のリズムは決して新しくなったわけではないと、日本と他国のリズムを違いを考えていました。
 それはやはり長い間の生活様式からくるもので、日本はその基層である農耕のリズム、欧米は狩猟生活のリズムによっているものだと。
欧米は弾み系。
日本は静的な土踏み運動。
これでは交わることは難しい。
もちろん曲の中で静と動の部分を分かち合うということはできるでしょうが、さてそれを統一できるテーマは何であるか?難しい!と思い悩んでの機上の人となっていました。
 発つ前の大阪は冬の寒さが残っている気温。
そして降り立った那覇、石垣はその差10度もある温かさ。
着ている服の厚さを気にしながら、頭の中も寒い思考から温かい思考へと回転していくのが心地良く感じられる石垣滞在初日。

 車を走らせながら約半年ぶりの石垣の景色。
車窓からの眺めは安堵感と好奇心の思いが半分半分。
やはり新しい建物が立ち現れ、またこれまでの建物が亡くなったり看板が変わっていたりします。
半年だというのにこの石垣は急速に変化し続けているようです。
生きているのだ、と実感する車中でした。

 市長選間際ですね。
本土では50%を割る低い投票率が続いています。
その低い投票率に沿うように、全体の20%ほどで実は大切な物事が決まっていっているとの説もあるほど。
関心が薄いのか、はたまた虚無的、そして悲しい構造的なものなのか。
私にはとても人々が悩んでいるかのように見えます。
ここ石垣ではきっと高い投票率となるのでしょうね。
島全体の熱い、それぞれが想い描く社会づくりに向かっての意識の高い選挙が行われるよう期待したいですね。(それにしても日本の選挙ではどうして名前の連呼による選挙カーなのでしょう。
この近代社会にあって、この古いスタイルは私にはどうしても滑稽にみえるのですが、いかでしょう?)

 島では様々なイベントが計画されていますね。
今や石垣は日本での有数の話題県になっています。
新空港、格安航空、観光客の増加、そして新しいコンビニエンスストアも参入するとのニュースもありますね。
音楽イベントも計画されていて、それは沖縄らしく、祭り風に何やら華やんで賑わいを見せています。
やはり熱い人々です。
 リズムを考えつつやって来た八重山。
八重山のリズムは弾み系でした。
つまり本土の土踏みリズムではなく、欧米と同じ弾みなんですね。
ただその弾みが狩猟でなく「海」による船漕ぎ、波揺れによるのリズム感なのですが。
この様式は大切だと思われます。
真逆的なリズムの寄り添いではなく、同系のリズムによる協調の方が近くて、堅く強く結ばれる可能性が大ですから。
八重山は熱き血潮なんですね。





戻る戻る ホームホーム 次へ次へ