八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.54


【掲載:2015/06/07(日)】

音楽旅歩き 第54回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

【健康維持は積極的に立って動くことにあり】

 私は演奏会が近づいて来ると困ったことに運動不足になり、体重が増え、いわゆる生活習慣病のリスクが高くなっていきます。
何故演奏会が近づくとそうなるのか?
 先ずは部屋に閉じこもりがちになり同じ体勢で過ごす事が多くなります。
机やピアノの前に座ってずっと楽譜を読み続けますし、またパソコンの前に座って資料作りとその読みが圧倒的に増えます。
8時間ぐらいは座ったままということも少なくありません。
その上スケジュール的に練習日が多くなり、練習後の打ち合わせを兼ねた飲み会も増えてついつい食事やお酒も進んでしまうというわけです。
運動量が少ないのに飲食が多くなる。これで健康でいられるわけはありませんね。
 おまけにですね、本番が近づいてくれば高度の集中力の維持と細部の音楽的な手直しも増えて楽しさと共に精神的にストレスが溜まっていきます。
とにかく相手は人間です(オーケストラ奏者や合唱団のメンバー)、予期せぬ事態も起こることが多く気を抜くことはできなくなり、二重にも三重にもがんじがらめになる身体となるのですね。
全てが順調で、演奏も思い通りに運べば、体の疲れやストレスも吹っ飛ぶのですが・・・。
兎に角、音楽現場は喜びと感動と苦痛が錯綜(さくそう)する世界で、体も気も休まることがないのですね。

 運動不足の話を続けます。 というわけで、何とかして運動不足を解消しなければなりません。
昔はジム通いもして体力作りをしていたのですが、それも忙しさのために通えなくなり、最初に書いたように今では切実な問題にもなっていました。
 体を動かすのが好きなのに動かせない。そんなもどかしさをずっと感じている毎日だったのですが、実は最近解決の方法を見つけました。

 積極的に「立つ」ことをすれば良いのですね。
これまでは体力を温存させようと座ることを考えていたのですが、それが間違いだったようです。
座ったり寝そべったりしないで「立つ」、これなんです。
 進んで立ち、歩けばなお良いということです。
人間はただ立つだけでも全ての筋肉が働いて健康体を作っていきます。
バランスを保つという繊細かつ正確なコントロールを行い、筋肉も増強させて健康体作りを促進させていくのですね(ただし、立つ姿勢が正しくなければなりませんが)。

 そうは解ったのですが、前述の状態では集中型の私はこの少し立つ、ということもままならず難しい。
さあ、どうしたものかと考えた末に思いついたこと、それは目覚まし時計よろしく腕時計のお知らせ(振動)で立つことでした。機械に促されるのは少し癪に障りますが、以前に比べて健康になったことは確かですから感謝しましょう。
 何が何でもある一定時間を過ぎれば立つ!そして積極的に少しだけでも体を動かす(歩く)!
これが功を奏しているのですね。
指揮者って机上の勉強とステージ上での体の使い方にギャップが有りすぎです。
精々これからも「立つ」ことにします。





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