八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.104


【掲載:2017/09/17(日)】

音楽旅歩き 第104回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

続けている演奏会、それは異文化のコラボではないか?

 今年も早9月となり、後半の演奏会が始まりました。
8月はお休みを頂いた「マンスリー・コンサート」の再開です。
この演奏会も第414回目を迎える長寿の定期演奏会です。
私が主宰する「大阪コレギウム・ムジクム」はこの演奏会を中核として活動してきています。
その他に大規模な演奏会が年に数回ありますし、私個人が依頼されての客演指揮や、各地で指導している他団のステージを合わせれば相当の数。
「忙しい!」との思いは相変わらず続いています。また、これからも続きそうです。
「よくやってきたなぁ」とは心の底から湧いてくる言葉でありますが、もうひとつ、「よくもまぁ、続けて来て下さっているお客様(聴衆)がいらっしゃること!」と、本当に感謝の気持ちで一杯です。(初期の頃からのお客様が沢山いらっしゃいます)
大々的に宣伝をしているわけでもなく、個人的に強くお誘いしているわけでもないのに、演奏会当日には席取りを争うようにして来て下さることに感謝し、改めてこの長きにわたる演奏活動に感慨を覚えます。
414回とは言っても、実は数え始める前に数回の演奏会がありましたし、名が異なる演奏会もありました。

 約40年間の活動となります。
1年を通して8月はお休みですがそれ以外の月、つまり年11回は休むことなく続けてきたことになります。
演奏会は開催される地域によって大きくその様相が異なります。
本土というある意味でひとつの文化圏を築いているところでは、全国各県での演奏会で選ばれる曲目もそう大きく変わっていることはありません。
合唱やオーケストラの演奏会では、プログラムもよく似たものになっています。
その他のジャンルのコンサートでも大局的にみればそう驚く程の差違も見当たらないと私には思えます。
それに比べてやはり沖縄(その中でも歴史的な意味においての石垣島伝統音楽)は大きく異なっていると言ってよいでしょう。
このコラムでも書いてきていますが、使っている音階音や音程感覚、リズム感覚が本土の人たちが聴き慣れているものとは大きく違うのです。
だからこそ「大切な文化です!」と私は大きく叫びたい気持ちを書き続けてきました。
大切にして欲しい、大切にしなければという思いで一杯です。

 私自身、沖縄の血を受けながら本土で受けた教育、環境によってヨーロッパ文化の影響を強く受けました。
しかし、私の中に流れる「沖縄の血」は決して無くなってしまったとは思われません。
むしろ、演奏に「沖縄」の特徴が含まれていたのではないかとの確信を最近とみに感じるようになりました。
思います!この私の40年ほどの演奏会は、ヨーロッパと日本、そして沖縄との「コラボレーション〖collaboration(共同制作)〗」ではなかったかと。
純粋な文化継承は大切です!
そこには脈々と流れる伝統としての生活そのものがあるからです。
しかし、現実は世界の異文化が限りなく影響し合い、混じり合おうとしている。
考えさせられる深い問題です。





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