'97/4/9

武満のCDいよいよ秒読み開始です


昨晩、今回リリースすることになっている武満 徹の「うた」「風の馬」の原盤を聴きました。
いよいよ以前からお知らせしておりましたCDが出来上がります。
全国から予約をたくさん頂きました。
この場を借りましてお礼申し上げます。

ライブ録音にこだわってのリリースです。
このCDに限らず、私はこれまでスタジオ録音の方式でない方向をとってきました。
音楽の本質は一回限りの演奏にあると思っています。
繰り返し聴きたいとの要求は強くあるものの、二度と再現することのできない瞬間瞬間の時間の刻みこそ音楽の本質ではないかと思うのですね。
はかない時間の刻み、その本質を知ってこそ人間の本質も解るものだと思ってきました。
チョット難しくなってきましたね。
それというもの、原盤を聴いて思ったのですが、つくづく我々はギリギリの人生を送っているなぁと思ったからです。
<守りの姿勢>というのでしょうか、<安全な指向>というのでしょうか、これがなかなかできないんですね。
幾つかの曲は、細かい所で取り直したいと思う所もあるのですが、全体の運びが良いために取り入れることにしました。
例外として、3曲だけ、本番での演奏が緊張のせいか、乗りが悪くなった曲がありました、それらの曲に限って当日のゲネで録音したものを採用しました。その結果、最初の3曲だけがそれ以後と比べて録音レベルが違うといったことになっています。

やっと武満のCDをリリースすることができました。
何年かかったことでしょう。
自信を持って世に送り出せると思います。
昨日聴き終わってそう思いました。
この演奏の中に現在の私たちの全てが含まれていると思います。
沢山の人に聴いていただきたいと願うばかりです。
今月25日に出来上がります。
店頭に並ぶのは来月ということになるかと思います。
予約くださった方はCDが入荷しだい、すぐに送らせて頂くつもりです。もうしばらくお待ち下さい。

'97/4/9「武満のCDいよいよ秒読み開始です」終わり


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