No.132 '97/12/12

「クリスマス」を歌う


「クリスマス・キャロル」を練習しています。
この時期、毎年のことです。

日本は様々な宗教があふれるまれなる国です。
もともとは文化の根底に<神道>と<仏教>が流れている国。
現在も<無宗教>と言いながらもしっかり生活に根付いています。

キリスト教信者が全人口の2パーセントに満たないといわれているこの国で、「クリスマス」が年中行事のなかにしっかり入れられているとは少し考えれば不思議なことです。
意味もあまり深く考えず、楽しい行事の一つだとわりきって騒いでいるのもまた楽しい光景ではありますが。

演奏する時、そういった<楽しさ>のみで歌ったり、奏したりすればよいのですが、そうもいかないんですね、これが。
「イエスの誕生」とか「3人の博士」や「羊飼い」について歌うとき、やっぱり、その情景なり、気持ちが必要になってきます。
「羊」など日常的に見ることも困難になってきています。ましてや「羊飼い」といっても馴染みはないですね。
「3人の博士」とは一体なんでしょう。
「サンタクロース」や「もみの木」が登場してもいったん<白けてしまった>世代や人たちにとってはゆうつなものです。

しかし、結局「クリスマス」を歌うって、毎回演奏毎に<夢>を与えることだと知りました。
「誕生のいわれ」も「博士」の意味も、「羊飼い」の様相もそれに留まっていてはダメなんですね。
それらの意味も役割も超えて、<現実にはない夢>を見ることなんですよ。
現実には無いが、<現実味のある夢>を見ることなんです。
すべての人たち(年齢や職業、生活環境の違いがあっても)に、共通する<希望>が見えるような、そんな演奏を志したいと思うんです。

今回の「クリスマス・コンサート」は盛りだくさんとなりました。
沢山すぎてちょっと演奏は大変なんですけど、面白いプログラムを考えてくれました。
いい<夢心地>の空間になれば、と願っています。

'97/12/12「<クリスマス>を歌う」終わり