No.134 '97/12/22

ご来場ありがとうございました


昨日の「クリスマス・コンサート」をもって「大阪コレギウム・ムジクム」の今年の演奏会は全て終了しました。
ご来場ありがとうございました。
一年があっという間に過ぎ去りました。

いくつか振り返ってみることにしますね。
今年はじめの思い出、それはシュッツ「カンツィオネス・サクレ」全曲録音です。
世界的に見てもこの全曲録音は貴重なものとなります。
このCDは来年早々リリースする予定にしています。
沢山の方々に聴いていただきたい曲なんです。

夏はドイツ演奏旅行でした。
この時は新聞評は近々このHPで公開することになっています。
いっぱい思い出を作ってきました。
また旧東ドイツでの演奏会は初めてだったのですが、新聞評を読むとほんと行って良かったと思っています。
来年も行きます。今度はどんな体験が待っているか今から楽しみです。

秋はいずみホール主催の演奏会でした。
珍しく、余り演奏されないミサ曲を演奏できたのは 嬉しかったです。私にとってはシューベルトを勉強するいい機会となりました。また演奏できればと思っています。

東京公演が「定期」になりました。
東京でのお客さんに私たちの演奏を聴いていただけるのは嬉しいことです。
合唱団だけではなくアンサンブルの音楽もこれから聴いていただく計画です。
収録しました柴田南雄の「無限曠野」は柴田南雄・響その3のCDに収めるつもりです。来春のリリースです。

そして「第9」と「クリスマス・コンサート」でした。
演奏者として少し感想を書いておきます。
「第9」は「新しい第9像」を目指すことでした。「第1楽章」はほぼ私の意図したことができたと思っています。「第二楽章」はベートーヴェンが書いたテンポ付点二分音符が116より少し速く、私は120での演奏です。全部繰り返しての演奏でした。普段聴けないフレーズも聴いて頂けたのではないでしょうか。
「第3楽章」は私の意図したフレーズ感が出たのではないかと思っています。人の息の長さに対応したテンポを設定しました。結果的にベートーヴェンが記したテンポに近かったと思います。
「第4楽章」シュッツ合唱団だからできた演奏でした。音のメリハリ、各部分ごとの性格を明確にできたのではないかと思っています。
テンポが速いというのが目立ちがちですが、私の意図はそれが目的ではありません。テンポを速くすることでテキストや楽曲の構成がすっきり浮き上がってくるのがねらいでした。
そのねらいは成功したと思うのですが、ただ難しいのは、リズム感がまだ全体にわたって統一できなかったことです。
ちょっと説明が詳しくなってしまうかもしれないのですが、問題はテンポを速くして演奏ができても、リズム感を統一しなければ落ち着いた、余裕を感じさせる演奏にはならないということなのですね。
日本人独特のリズム感がそれを阻んでいます。
私の思う演奏にはもう少し時間がかかりそうです。
しかし、その問題点は残ったものの、「第9」の「新しい試み」は成功したと思っているのですが、どうでしょうか。

「クリスマス・コンサート」は長時間のプログラムでした。
二回分のコンサートをした量ですね。
今年最後の演奏。
皆さんと「共感」できる時を持ちたいと思ってのクリスマス・コンサートでした。
演奏を終えて楽屋に向かう団員やアンサンブルのメンバーの顔は、疲れていたとはいえ充実感の様相でした。

すこしエネルギーを蓄える時間を頂いて、また来年に備えたいと思います。
合唱団は新年早々「オーディション」がありましたね。
やっぱり休めないのかなぁ、この団は。

'97/12/22「ご来場ありがとうございました」終わり