No.156 '98/7/3

「クラシック」は音楽じゃない!


一時若い人々の層には音楽のジャンルでの垣根は取れつつあるということが言われていました。
私もそう感じていましたし、事実そういう人たちも少しは増えているような気がします。
しかし最近では一時期のその風潮も後退し、大勢(たいせい)としてはまた「クラシック」離れが始まっているようにも思うんですね。
まだまだこの国では「クラシック」は特別のジャンルという意識だと思います。

「クラシック」は特別でいいんだ。
誰彼も解るものではないし、また解らなくてもいい。解る者だけが聴けばいい。
そういう意見もあろうかと思います。
でも、私などこれって<寂しい>と思ってしまうんです。
自分を振り返ってみても、良かった音楽は皆に話してみたいし、自分の感動を知ってもらいたいという気持ちが強かったですね。
分かち合える仲間が多ければ多いほど楽しみも増すのではないかと思っています。

皆さん、テレビなどでたまたま「クラシック」が飛び込んでくると何か異様な雰囲気を感じることってありません?
それほどに、現実から遠い存在の部分もあると、事実私も思います。
衛星放送などでは結構「クラシック」番組が放映されています。(まだまだ全体から言えば少ないといえるでしょう)私などは楽しみなんですが、私の息子 の世代(高校生です)では見ませんね。
しかし、息子は音楽大好き人間です。
専門的な音楽教育は受けさせませんでしたが、親の影響もあってか彼にとっては音楽は既に彼の一部分になっています。
その彼にとって、「クラシック」は十分に魅力あるものとしては映っていないようです。
少し興味を持った時期もあったようですが、<イメージ>が良くないらしく、その方向には行かなかったですね。
で、もっぱら彼はエレキギターをかき鳴らし、リズムに乗り、自分でも曲を書き、サウンドに酔いしれています。
これって、音楽の本質だと思うんですが・・・・・。
その世代が「クラシック」に魅力を感じない。
<壁>は何なのかと思ってしまいません?

友人と話をするとき、音楽の話題は「クラシック」抜きですよね。
職場などでも「クラシック」の話はなかなかしにくいと聞きます。
テレビの話に戻りますが、チャンネルを選んでいていきなり「クラシック」が目に飛び込んできたときなど、若者は(若者に限らないかもしれませんが)慌てて他のチャンネルに切り替えるでしょう。
興味を抱くよりは、「避けて通らなければ」とでも思っているようにです。
そんな風景見たことありません?

多くのこの国の人にとって、「クラシック」は<音楽じゃない!>なんですね。

No. '98/7/3「<クラシックは音楽じゃない!>」終わり