No.269 '00/4/6

大田前沖縄県知事の講演会


大田前沖縄県知事の講演会がアクア文化ホールであると聞いたので行って来ました。
沖縄問題は日本人として無関心ではいられない事柄です。
大田前知事のことについては何回かこの「日記」でも触れていたのですが、著書は読んでいても生の声は十分には聞いていませんでした。
その人となりは理解しているつもりですが、どのような講演をなさるか、少し疲れていましたがアクア文化ホールまで出かけました。

知事の経験を通して語られるわけですから、説得力のある内容です。
沖縄の米軍関係者、本国のアメリカの軍関係者、政府高官、議員たちの話がポンポン飛び出します。
それもこちらでは報道されなかった興味ある話です。
聞いているうちに、沖縄が置かれている状況がよく見えてきます。
歴史に見る沖縄は、我々日本人が是非とも知っておかなければならない問題で一杯です。
その沖縄を研究していたのは我々日本人ではなく、アメリカや中国といった諸外国であったというくだりは私の胸を打ちました。

話のされ方は研究者らしい淡々としたしゃべり方。
風邪をひかれていたのか少し聞きづらい状態の上、時間を気になさりながらの内容は後半になるほど端折られた形となり、残念でした。
しかしメモは見ながらも、迫真の、あるいは核心の部分になると一気に喋られます。経験と研究に裏付けされたその内容にはなみなみならぬ迫力がありました。

文化、芸術に携わっている者にとって、そして、日本人にとって、この沖縄問題をさけては通れないと私は考えています。
沖縄問題を考えることは、「人間の尊厳」「誇り」と向き合うことだと思っています。
日本人として沖縄をどうとらえるか。
あまりにも我々は沖縄を知らなさすぎるのではないか?

沢山の聴衆が集まっていました。
私はずっとホールの後ろの壁にもたれて聞かなければなりませんでした。
最初は、私の立っている近くでいびきの音も聞こえていましたが、後半では相づちを打つ人もいたりで結構熱心な空気が漂っていたと思います。

講演が終わり、質疑応答(質問をアンケート用紙に書き、それを大田前知事が応えるというもの)に移る前に、例によって歌が披露されます。
これ、私弱いんですね。
帰りたくなります。
今日の出演は、5人の女声(なぜか日本の着物を着て歌っていました)と4人の男声という編成でのコーラスです。
歌が2曲、そしておまけとして男声ソロによる「マイ・ウェイ」。
そこそこには上手いのですが・・・・・・。(なぜか私には浮いて見えるのですね)
こういう、習慣としてのプログラムは考える方がいいなといつも思ってしまいます。
そしてですね。何故か伴奏がカラオケなんです。
やはり、私は伴奏はテープでなく、生でやってほしいと思っています。(最近はカラオケで歌うのが普通なのでしょうか?)

アンケートに応える大田さんは、まだまだ言いたいことがあると言わんばかりの勢いでおしゃべりになり、多くの質問に応えられないまま時間切れ。
「残りは、執筆を通じて、あるいは何らかの方法を探して応えます」と締めくくられて終わりました。
私の頭の中は「ヨハネ」がなっています。(日曜日の本番が気になっているのでしょうね)
講演を聞きながらもずっと「ヨハネ」が流れています。
西洋人の容姿をしたイエス、そのイエスが沖縄の普天間基地周辺に立ち現れたのを想像します。
沖縄の人に混じって一人イエスが立っている。
イエスは米軍の方を見ているのか、それとも沖縄の人たちをずっと見つめているのか。あるいは遠く離れた日本を睨んでいるのか。
私は大田前知事の話を聞きながら、そんな風景を見ました。

No.269 '00/4/6「大田前沖縄県知事の講演会」終わり