No.289 '00/5/11

緊張の「フェルメール展」


大阪市立美術館の「フェルメールとその時代」展を見てきました。
久しぶりの市立美術館です。ほんと久しいですね。
以前行ったのはいつだったか覚えがありません。
神戸や京都での絵画展はよく行くのですが、何処にあるのか良く覚えていないほどになっていました。

「閉館間際に行くといいですよ」とのアドバイスで入ったのは4時。
5時閉館だったんですね。調べもせず、おまけに行く前に用事も済ませたいと、のんびりした気分で出かけました。
今日一日だけでなく、7月まであるというのでまた機会を作ろうとの思いだったんです。

絵の数が少なかったです。
ですから、今日の私が回った一時間は少し短かったですが、もう30分もあればいいんじゃないでしょうか。
宣伝されている、フェルメールの絵画の出展が5点。残りは17世紀オランダの市民生活を描いた作品を集めています。
画そのものは楽しめました。ちょっと少ないと思いながらも、一点一点に面白味があり、当時のオランダの様子も解り、十分に楽しめるものでした。
しかし、なんです。

天王寺で降り、公園に向かいます。動物園は幼い頃よく行ったものですから懐かしかったですね。しかし建物などは随分変わっていました。ここは独特の雰囲気ですね。(人の流れ、動きかな?)これは昔も今も変わっていません。
この辺から少し心配になってきました。
ここに、この連休で何万という人が来たんですね。
ものものしい(仰々しい)チケット売り場、そこから公園を突き抜けて美術館へ。

美術館に入ったとたん、私は「ちょっとこれはまずいかな」と感じてしまいました。
それは的中でしたね。
絵が飾られている部屋は視線による緊張感で満ち満ちています。
スタッフと警備員の視線です。
そして、その方たちの動きがどうも私から見れば「動き過ぎ」です。その上その動きが「監視」のためのように見えるものですから落ち着いて絵を見る気持ちが削がれます。
実際何度も、近づかないでというような注意を受けている人を見ました。(そんなに逸脱していた行為でもなかったとも思うのですが)
絵の前で喋っていたご年輩に向かって、「喋らずに絵を見て下さい」と注意をしたスタッフもいました。(これなど、今まで色々なところに行きましたが、はじめてですね)
もう、ゆっくり見ている雰囲気じゃないんです。
途中から少し腹が立ってきました。

展覧会場は心の豊かさとか、静けさの中での絵との語り合い、といったものを求める「場」です。
心の落ち着きとか、安らぎが求められる「場」で、あからさまに「監視の目」と「落ち着きのなさ」の「場」と化してしまっています。これはまずいですね。
いくら高価で貴重な絵を護衛しなければ、ということがあっても、あれじゃ行き過ぎだと思います。
気分がほんと悪くなったものですから、美術館を出るとき一人のスタッフに近づいて聞いてみました。

「スタッフはバイトで雇ってるのですか?」(私)
「いえ、大阪の学芸部員が集まっています。そして警備の人たちですね」
「すこし、雰囲気が・・・・・」(私)
「そうですね。通常より沢山の人数(スタッフ)ですね。」
「どうも、落ち着かないし、展覧会としてはなじまないですよ」(私)
「以前盗難にあっているようですし、オランダ政府からも警備の強化を要請されているらしいです。」
しかし、彼の次の言葉で少し救われた気持ちになりました。
「ゆっくりと絵をご覧になりたい方にとっては良くない雰囲気ですね。私も同じことを感じます」

彼の対応はいい感じでした。
それにしても、後味が良くないです。
観客のマナーと主催者側の対応とが、心が和む調和としての空間を作り出すといったものになりたいですね。
でも、あれじゃ過剰な緊張感ですよ。

愛知県美術館でも平行してフェルメールを展示しているようです。
そちらにも行ってみようかなと思い始めています。(レンブラントも展示されているようですから)
でも、何度も言うようですが、「もう少し落ち着いたものになって欲しいなぁ」

この後、これも久しぶりなんですが、フィットネス・クラブで泳ぎました。
会員になっているものの、最近(といっても、途絶えてからもう一年ぐらいになるかな)行ってなかったんですが、気分も変えたいこともあってひと泳ぎです。(しかし、久しぶりだったのでプールで歩いてましたね(笑))
でもそれにもかかわらず、今夜は気分ももうひとつ・・・・・、なんか中途半端な感じで帰宅しました。
静かに見せてくれるのなら、もう一度行ってみたい展覧会なんですけれどねぇ・・・・・・・・・。

No.289 '00/5/11「緊張の<フェルメール展>」終わり