No.290 '00/5/14

夏の夜の夢


蜷川幸雄演出、シェークスピアの「夏の夜の夢」を見てきました。
予想以上でしたね。

竜安寺の石庭をイメージしたセット。
まずホール入ってこのセットに驚かされます。
砂も特殊なものなのでしょうが、再現されていてその立派さにため息が出ます。
このセットに当てられている照明がまたいいんですね。
様々な色で時と場所とを暗示させます。
天井から降ってくる「砂」(光に照らされて何筋もの「光線」として浮き上がります)、「真っ赤なバラ」(白い砂に赤がいっそう鮮やかでした)。
そして衣装、どれも目を十分に楽しませてくれるんですね。
地から現れる「妖精」の奇抜性、正面が真っ二つに分かれての俳優たちの出入り。その装置にも驚かされました。

個性的な俳優たちに拍手です。
特に私は白石加代子、大門伍郎に惚れ込みました。
この喜劇としての「夏の夜の夢」がこんなに面白いとは。私は大いに笑いましたね。
特に、白石加代子のセリフの言い回しに魅了されました。こんなに声色が変わるんですね。歌手たちも参考にしなければ。
客席もどんどん引き込まれていきます。
拍手や、笑い声がだんだん大きくなっていきます。
客席は満席。
カーテン・コールで最高に盛り上がりました。
「してやられた」というのが感想ですね。
スタンディング・オベーション、私も立ち上がっての惜しみない拍手をしてました。

「コンサート」もこんな感じになるといいなぁといつも思います。(これに似たものが私たちのコンサートだと思うのですが、どうでしょう?)
聴きに行って、何度かこのような興奮につつまれた演奏会も経験していますが、残念ながら外来演奏家のコンサートでしたね。
「演劇」は「コンサート」を越えた。と残念ながら思ってしまいました。
この熱気が「コンサート」でも欲しいなと思います。
我々も更に腕を磨き(音を磨き)、工夫を凝らし、新しい「音芸術」を作りたいなぁ、と切に思う次第です。

No.290 '00/5/14「夏の夜の夢」終わり