No.292 '00/5/22

気持ちの良い演奏会でした


昨日、「京都モンテヴェルディ合唱団」の演奏会が終わりました。
気持ちの良い演奏(会)でした。

演奏会が終わって、「気持ちがよい」という印象はそうあるものではありません。
一曲が終わるごとに、幸せな気持ちになっていきました。
いつも書いていることですが、だからといってこれ以上の出来はないといった演奏だったということではありません。
まだまだ課題は残されています。
しかし、昨日の演奏は<その時点>という但し書きがあるとはいえ、満足できる気持ちの良い演奏だったんですね。

あんなに合唱団とコンタクトが取れたことは今までになかったのではないでしょうか。
指揮者にとって、特に私のような「威厳」や「怖さ」も持ち得ない者にとっては(笑)団員たちとのコンタクトは必須です。
団員たちの積極的で自主的な感性と互いの信頼感が演奏の完成度を高めます。
昨日はどの点を取り上げてもバランスのとれたものになっていたのだと思います。

会場、聴衆、作品、どれもが大事です。どれか一つでも満足度が欠ければ「気持ちの良い」演奏会にはなりません。
「京都モンテヴェルディ合唱団」にとって「京都文化博物館別館ホール」はメイン会場となったのではないかと思います。
この合唱団の人数があっているのかもしれません。これからも、合唱団が持つ良い響きをつくり出すことができるのではないか、そう期待しています。
良い聴衆に私たちは恵まれています。ホントに感謝です。
演奏者を乗せてくれるんですね。
空気が動いています。何か期待されているような、あるいは一緒に演奏会を作っていこうとするかのような動きが会場の隅々から感じられます。
この聴衆に合唱団は育てられているんだ、という気持ちが私の心の中に溢れて来るんです。
合唱団はホントにいいお客さんに恵まれているんです。

アカペラは難しいですね。でも前半で見事に合唱団は歌いきりました。
聴いていただいていたお客さんは「アカペラ」、無伴奏だったということを意識することなく安定した響きの中で聴いていただけたのではないでしょうか。
後半での曲目では、木下牧子「邪宗門秘曲」の曲が刺激的でした。
作曲家には失礼かもしれないのですが(牧子さんごめんなさい)、こんなに一直線で、しかも圧倒するハーモニーで押し切ってしまう曲は少し今までのイメージからすれば以外でした。
はじめは「?」と反応していた合唱団も、最後にはすっかりはめられたといった風です。
乗った演奏になりました。
(ちょっと失敗談を。私のミスなのですが最初のこの曲の合わせの時、持っていった楽譜は改訂前のものだったんですね。振りはじめてみると合いません。私の「?」の顔を見ながら皆は不思議そうな面もちです。前もってスコアを見て作り出していたイメージがその時、真っ白になりました。こんなこと今までにありません。
で、言うわけではないのですが、改訂前の曲も良かったなぁ、ちょっと改訂版はすっきりしすぎるかなぁ・・・・なんて思ってます)

と、いうことで昨夜は気持ちの良い演奏会となりました。
こういう演奏会が続けば良いですね。

No.292 '00/5/22「気持ちの良い演奏会でした」終わり