No.296 '00/6/1

ヘレヴェヘの「マタイ受難曲」を聴きました


昨夜、いずみホールでのフィリップ・ヘレヴェヘ指揮バッハ「マタイ受難曲」を聴きました。
以前から一度は聴いておきたいと思っていたグループです。楽しみでした。

ドイツ人からも噂は聞いていましたし、CDを通じてもその音楽に触れてきました。
私個人の音楽志向からはそんなに興味あるものには感じられず、家の書棚のCDは彼のものが結構あると思うのですがあまり聴くことがなかったですね。
でも、「生」を聴くことが楽しみでしたので、今度の来日は非常に楽しみで、早くからチケットを頼んでいました。

「生」はいいですね。いろいろ楽しませていただきました。
ちょっといくつか挙げてみますね。
先ず、オーケストラが出てきてから演奏が始まるまで10分以上はかかっています。
丹念に「音合わせです」。コンマスの音合わせが一音一音丁寧に合わせられます。そしてそれが終われば、第一オーケストラ、それが終わると第二オーケストラへと続きます。管楽器とも合わせますから結構時間がかかります。
私などはこの間、奏者を見たり、マタイのスコアを思い出したり、それぞれの音の合わせかたの違いが面白く退屈などしないのですが、以前、私の演奏会のアンケートに「音合わせは早くして下さい」と書いたかたもいらっしゃったので今日の他のお客さんはこの時間をどう感じておられるのかちょっと気になりました。

客席はほぼ満席。
第一コーラスは14名。何故か第二コーラスは13名。
弦は3.3.3.2.1という編成。これが左右対称に並んでいます。と、書きたいところですが、いずみホールのステージの関係でしょうかそうはなっていないのですね。これはちょっと気の毒でしたね。これにフルート、オーボエ、バスーン、オルガン2台、ソリスト、そして18名の子供の合唱団です。
期待しながら耳を澄ませます。
柔らかい音色がホールに広がります。この団体の特徴と私が思っていた合唱団の柔らかく、少し奥まった響きが美しく立ち上がります。
途中でイエス役のバス歌手がペットボトルで水を飲むんですが、これが大きい方のボトルなんですね。ちょっとびっくりしました。
ヘレヴェヘの指揮も面白かったですね。手首と肘がよく回ります。ブンブン回します。肩からの動きではなく、手首と肘なんですね。
余程合わせる時間が豊富なんだろうなぁと感心しながら、指揮とオーケストラの音の立ち上がりの関係を最後まで楽しみました。
合唱団とオーケストラは曲を熟知しているのがよく判り、第二部でのドラマティックな部分では激しさも増し、アタック、そして声色も変化させての演奏はその実力を十分に示したものでした。(特に合唱団の実力は相当なものと思いましたね。巧かったですよ)

指揮のヘレヴェヘさん、いろいろと面白い動きを見せてくれました。私にはこの人の性格が気になり始めています。
実はCDで、それを感じていたのですが「生」を見て益々興味が湧いてきました。
ところどころ、演奏中でアンサンブルの乱れがあったのですが、私など余り気になりません。いろいろ考えながら聴いていたものですからとても面白かったです。

ヨーロッパに行ったときなど、この団体の演奏会があればまた聴くでしょうね。
でも、日本ではもう聴きに行くことはないかもしれません。
聴きに行って(水曜日はシュッツ合唱団の練習日なんです)良かったです。
今まで気になっていたことが一つ解決したような気がします。

No.296 '00/6/1「ヘレヴェヘの「マタイ受難曲」を聴きました」終わり