No.323 '00/9/11

「モテット」の演奏会が終わりました


いずみホールでの「モテット」の演奏会が終わりました。

楽しかったですが緊張の演奏会でした。
正直言って、大阪でのバッハ演奏は難しいんです。
ドイツでの演奏の方が気が楽ですね。
いろいろな細かいところに気を使わなくてはなりません。
意外なこと(あまり本質的でないところの問題)が指摘されるということが今までにもたくさんありました。

今回も当日までは胃が痛くなるほどの心配があったんです。
しかし、歌った団員たちに助けられました。(団員たちはきっとお客さんに助けられたというかもしれませんが)
ドイツや、今までの演奏による経験の積み重ねがメンバーの揺るぎ無い自信となっているんですね。
私の心配など「取り越し苦労」というものでした。

「作品」「演奏者」「聴衆」の良い関係によって成り立つ演奏会をといつも思います。
良い聴衆に恵まれると演奏もどんどん良くなります。
今回はこの良い関係が生まれたのではないか、そんな気がしました。
ドイツでは我々の演奏によって聴衆が一曲ごとに顔が変わり、会場の空気が変わっていくのを体験します。
こちらが「何をいいたいか」ということだけを考えて演奏すればいいわけです。ドイツの聴衆はそのことに反応してくれます。(しかし、「何をいいたいか」が無い演奏には実に冷たい反応(外交辞令的なものがあります)が返ってきます)
バッハの作品を演奏することに喜びは感じても心配することはありませんでした。これがドイツでの私の演奏体験です。

礒山先生のトークが良かったですね。
舞台裏で聴かせていただいていたのですが、これがスムーズに私の演奏に向かう精神的な高揚へと導いてくれます。
その流れを引き継いで、演奏すればいいわけです。
演奏家にとってこんなに確信の中で演奏できることはそうあるものではありません。本当にこの上ない喜びでした。

演奏会後の「打ち上げ」に礒山先生が来られました。
ユーモアも一杯の楽しいひとときでした。
私たちにとって嬉しいコメントも頂きました。(礒山先生のホームページにも感想が書かれています)
一同、大役を果たせた安堵感も手伝って大変な盛り上がりようでした。

体は元気なのですが、頭の芯が疲れているといった状態での朝の目覚めでした。
休む暇無く10月の演奏会に向かって動きます。
しかし、頭の中はまだバッハの音楽で一杯です。(笑)

No.323 '00/9/11「「モテット」の演奏会が終わりました」終わり