No.347 '01/1/1

21世紀を迎えました


明けましておめでとうございます。
そして、来る21世紀がより良き世紀となりますように。

年末恒例のスキーに来ています。
そのお宿で、小澤征爾=サイトウ・キネンのバッハ「ロ短調ミサ」、そして20世紀の大指揮者を回想するテレビ番組を見ながら大晦日を過ごしました。
「ロ短調ミサ」の方は途中で座を離れてしまったのですが(やはり小澤さんの魅力で聴いてしまうのですね。演奏は熱演なのですが、私のバッハ像とは距離があるものですから、演奏での本質ではないものを聴いてしまうのですね)、しかしその後の番組の「指揮者」では釘付けになってしまいました。
どの人の映像も素晴らしいのですが、個人的にはエルネスト・アンセルメの映像が印象的です。
私の大好きで、一押しの指揮者というわけではないのですが、ちょっといきさつがあって忘れられない私にとっての指揮者なんです。
彼の現代音楽は良いですね。

それにしても映像の中の指揮者たちはホントに<音楽>を強烈に放っています。
圧倒されますね。
私も若い頃にこれらの演奏を聴き、その中で音楽を志すことを選んだのですね。
いろいろなものがよみがえり、忘れていた感覚を思い出します。

クーベリックとチェコフィルの演奏には泣かされます。
作品と人とが深く結びあっている様を見事に実証した演奏でした。

まだまだと思いながらも、体は一年一年衰えていきます。
映像を見ながら、指揮者たちやオーケストラの若々しい姿と晩年の姿を比べてその年輪の重さを考えます。
今日の滑りで少し痛む膝を撫でながら、往年の指揮者やオーケストラを見、我の過ぎゆく時間を想う20世紀最後の日でした。

21世紀の幕開け。
どのような世紀となるか?
音楽界はどのように変化していくのか、それを身を持って体験する我々ではあります。
一つ一つ確実に歴史を刻む演奏会。よりよい演奏であるよう最善をつくして臨みたいと思います。

No.347 '01/1/1「21世紀を迎えました」終わり