No.375 '01/7/25

「思わず涙」の意味


一週間の休暇を楽しみました。
一応デジカメも持っていってたのですが、撮る時間もなく、海中撮影は人任せとなりました。
その分、思う存分「潜り」そのものを楽しめたと思っています。

朝食が8時から、準備をして9時にはお迎え、スーツを着、機材を付けてポイントまで船で移動、潜水は10時前に始まります。
これが一本目。
その後休憩を挟みながら(といっても船での移動、昼食、トイレタイムですね)、二本目、三本目と続き、日によっては晩御飯の後四本目(ナイト)というのが毎日の繰り返し。
宿に帰ってきてシャワーを浴び、少し眠りをとって(小一時間)その後が「ログ付け」。
美味しいビールを飲みながらその日に見た魚や珊瑚の話に花が咲きます。
これじゃ、ホームページを更新する時間がありません。

今回は石垣島から始まり、西表に渡って二日間潜り、また石垣に戻って潜るという計画でした。
その西表のダイビング中の「ログ付け」で印象深いことが起こりました。

今回参加した仲間は17人。いつもは合唱団だとは言わずに潜ります。ということは歌はうたわないことにしているんですね。
インストラクターとかスタッフの人はこの集団を興味深く見ます。
カップルでやってきたり、一人でやってきたり、引率(たぶんショップ関係ですね)されて5〜6人のグループで来たりしている中、この人数、そして抜群のチームワーク(というよりはみんな良い動きをするんですね。身勝手な動きはしない、それでいてみな明るく、積極的、協力的で朗らかです)を発揮するわけですからちょっと目立ってしまいますね。
「ログ付け」の時、遂に(ちょっとオーバーですかね)合唱団であることを告白し(やはりオーバーですね)、歌うことになってしまったんです。
そうなってしまったのにはわけがあります。牽引役がいたからです。
パラオから手伝いに来ていたのエリックさんがその人です。

いかにもパラオの人って感じ(どういうことでしょうね。(笑)体が大きく、メンバーの一人は彼のことをお相撲さんに例えたほどです)で明るくユーモアに満ちたインストラクターです。
後で解ったことなのですが、かれは仏語、英語、日本語が話せるそうです。
お母さんがフランス系、お父さんがアメリカ人で彼もアメリカで育ったのかな?そして仕事のために日本語も話せるようになったそうです。
時々頭の中が混乱すると言ってました。(笑)
その彼の人柄に惹かれて「歌ってみるか」ということになったんです。

お酒は入っているし、疲れてもいる。
決して喉の調子も良くなかったのですが、久しぶりに「歌う」こともあってかなかなかの良い感じて歌ってました。(曲は悩んだのですが、つい最近CDにしたということもあって皆が覚えていた「かもめ」を歌いました)
エリックは私の後ろにいたんです。
歌っていたメンバーの表情がおかしいのに気づきました。
びっくりした表情、「えっ?!」っていったものでしょうか。
エリックが涙を流し始めたんですって!(私には解らなかったんですね。私の真後ろにいたのですから)

後で彼は言ったんです。
「なんて言うか、言葉には表せないけれどハートに来たんだ」と。(彼は言葉にしようとしているのは判るのですが、言葉にならず、大きな太い腕が彼の胸の前でグルグル回っているだけでした)
ホントに感動したらしく、その後も熱い眼差しを皆に注いでいました。
他のインストラクターとの間でも話題になったそうです。

予想もしなかった出来事でした。
しかし、嬉しかったですね。
たぶん、彼は言葉の意味は判らなかったでしょう。
音楽も初めて聴くものだったでしょうね。
でも、何かしら強い衝動を受けたのですね。(彼がどのように涙を流したかは後で皆の手振り身振りで教えてもらいました)
彼の感受性に私は深い感動を覚えます。

「出会い」っていいですね。
今回の「ダイビング休暇」中にも沢山の新しい「出会い」がありました。
人との出会いは<人の心>に触れることだと思います。
人の表情を私の心に刻み込むことだと思います。
良い休暇でした。

(このエピソード、もう少し掘り下げて書いてみたい気持ちにかられています。関連したものとして「マイヌング」に書きますね)

No.375 '01/7/25「「思わず涙」の意味」終わり