No.382 '01/9/1

第一日目の神奈川県合唱コンクール


中学、高校、大学、職場部門でした。
出場数も少なかったので全部の感想を書きましょう。
多く書くところと、少ないところとがあるかもしれませんが、それが私にとっての優劣とは直接関係があるというわけではありませんのでご承知置き下さいね。

中学校(混声の部)
■川崎市立白鳥中学校白鳥合唱団
(銀)女声の高音が少しつまり気味なのが気になりました。全体に下降音型でピッチが下がるということもありました。アンサンブルももう少し丁寧に整えられたらいいですね。リズムの縦が揃わないといったことは少し気になるところです。男声もハモリがなかなか難しそう。最後のハーモニーが決まらなかったのはやはり私には辛いです。
■厚木市立小鮎中学校合唱団
(金)なかなかまとまりのいい演奏を聴かせていただいたのですが、私にはそれだけに響きの暗さが気になりました。
響きが低いのですね。そのために和音が立ちません。もう少し明るい発声を試みられたらいいのではないかと思いました。
皆さんの歌う表情が良かったですね。私はこれが一番気に入りました。
■厚木市立睦合東中学校合唱団
(銅)先ず、発声が余りにも自然体ですね。地声がいっぱい聞こえてきます。女声も男声も胸声が主。
伴奏のピアノとピッチが合わなかったですね。
■茅ヶ崎市立松林中学校合唱部
(金)発声が良かったですね。響きも明るく、当たる場所も鼻の上部です。なかなか大人の響きがしています。
リズムもしまり、和音も立っています。
2曲目になって全体に響きが落ちたのですがどうしたことでしょう。特にアルトの響きが落ちがちだったのは残念でしたね。

(同声の部)
■清泉女学院中学音楽部
(金)ファルセットの多い柔らかい響きで美しかったですね。
フレーズの終わりで少しピッチが下がるのが気になりましたが、響きのバランスはとても良かったと思います。
ただ、難しい曲を良く歌ってくれたと思うのですが、表情が少し乏しいように私には感じられました。
■藤沢市立六会中学校合唱部
(銅)ここも発声が自然体。響きが浅くて曲が平坦に聞こえてくるのですね。人数が少ないということもあるでしょうが体を一杯につかった声が聞きたいと思いました。
「蛙のポルカ」良かったですよ。

高等学校(Aグループ)
■慶応義塾湘南藤沢中・高合唱部
(銀)歌い出す前に出すハミングの音取り。これ良かったんですね。なかなかよく響いていました。ところが歌い出すとやせ細ってしまったんですね。これは残念ですよ。
課題曲のハーモニーが決まらなかったのは気になりました。この曲特にハモリが大切です。
高校生が歌うモンテヴェルディのマドリガル。私は感心しました。よく歌っていたと思います。
■向上高等学校合唱部
(銅)女声のピアノの響きが弱すぎます。響きがやせ細ってしまっているのですね。男声は響きも良く、向かう音の方向性も良かったと私は思いました。
全体としてハーモニーの量的なものを感じないのですね。
二曲目、最初はまとまったハーモニーと受け取ったのですが、中間部から崩れました。フォルティッシモのあとのア・カペラがとくに乱れましたね。最後もハーモニーが決まらず残念でした。
■県立茅ヶ崎西浜高校合唱部
(銅)テナーのパートが難しいですね。でももう少しみんなでテナーのフォローをしてみたいですね。
声が欲しいところ、あまり必要でないところ、これらの整理をしてあげればハーモニーもはまってくると思うのですが。
ソプラノ、アルト、バス、なかなか良かったですよ。
二曲目は声に力みが出ましたね。クレッシェンドも乱暴となったところもあり、4声のバランスも悪くなりました。
ソプラノが少し勝ちすぎたきらいがあったのではないでしょうか。
■桐光学園高等学校合唱部
(金)課題曲も自由曲も丁寧な仕上がりになっていたと思います。
発声も柔らかい響きで各声部もまとまりが良かったです。転調もうまくこなし、ハーモニーも良かったですよ。最後も決まりましたね。
二曲目、一層ハーモニーが良くなりました。決してパワフルな感じではないのですが、曲をよく味わいながら歌っていたのが良かったです。ソプラノが美しかったですね。
ここは指揮者が曲ごとに変わられたのですね。ちょっとびっくりしましたが、それぞれに持ち味が違ったのでしょうか。

高等学校(Bグループ)
■県立生田高校グリークラブ
(銀)テナーが高音でかぶさり、響きが低くなってしまったのが気になりました。
曲のまとまりは決して悪くはなかっただけに残念に思いました。
自由曲はリズムも良く、運びの推進力もあったのと思うのですが、ソプラノの音程と平板なハーモニーに私は少し不満を感じてしまったんですね。
■北鎌倉女子学園コーラス部
(金)人数が多いにもかかわらず、良く訓練された声でした。
立派な響きです。ハーモニーも洗練されたものでした。今日聴いた中では一番の豊潤な響きであったといっていいのではないでしょうか。
曲のまとめかたも良く、リズム感も、その運びも良く、コントロールされた声でのディミヌエンドも巧みなものでした。
ただ、これは私の個人的な趣味のいきに入ることなのですが、(こういう言葉があるのかどうか分からないのですが)「コンクール風な演奏」と感じました。コンクールなのですからそれでいいわけなのですが・・・・・・。
■県立多摩高校合唱部
(金)課題曲、自信に満ちた始まりと感じました。テナーの高音には少し気になるところもありましたが、男声合唱の響きはなかなかのものでした。
女声のハミングが響かないのが残念ですね。また力みも気になりました。
二曲目は更にパフォーマンス性が増したかのよう。表情たっぷり、構えの強いアインザッツ、客席を見ながら歌うその姿はなかなか迫力がありました。アルトが聴かせましたね。
こういった演奏、好き嫌いが分かれるところかもしれません。
アクの強さを感じるかもしれないですね。表現上でのバランスが難しいところです。

大学部門(Aグループ)
■東海大学文化部連合会グリークラブ
(銀)ハーモニーを中心にした合唱団でしょうか。とにかくハーモニーを大事にしています、といった演奏なんですね。
そのためかどうか、おとなしく中庸な演奏、もう少しきつくいうならば窮屈な音楽づくりと映ってしまうかもしれません。
とにかく、ハーモニーはそこそこに感じられたのですが、音楽的な充実感といったものは私には希薄でした。
■鎌倉女子大学合唱団
(銀)よく喋り、バランスも良く、響きもまろやか。
リズムも弾み、ダイナミクスも過不足なく、強いて言えば「こじんまりまとまっている」ということなのですが。
しかし、私には<それだけ>としか映らないのですね。つまり、これも音楽的充実感が私には希薄なんです。

職場部門
■日立コール・システム・プラザ
(銀)不思議なハーモニーを感じた団体でした。
響きが低いのですね。胸のところでどうやら響かせているよう。
内向きな響き?
特殊な倍音?
下向きの倍音構成かもしれませんね。皆さん、下の倍音を聴いていらっしゃるのでしょうか。
これはもう少し考査する必要がありますので結論は・・・・・・考えておきます。
忙しい仕事もありながらの合唱活動。さぞ、その続けるといった苦労は大変なものだと思います。
ハーモニーが細かいところでは決まらなかったですね。課題曲の最後も決まりませんでした。
きめの細かい練習はなかなか出来ないかもしれませんが、これからもがんばってくださいね。

追記:
会場内の伸び伸びとした中学、高校の生徒たちが印象的でした。
私は別室での審査のため聴けなかったのですが、後で聞くところによるとその間を利用してステージにそれぞれが次から次へと上がって好きな持ち歌を歌っていくんだそうです。(時間が押してしまったために職場部門の日立の人たちは歌えなかったと聞いたのですが・・・・)
聴いている人たちは手拍子を打ったり(オフビートで打ち始める人もいます。いろいろなリズムでの拍子取りで場を盛り上げるんですよ。いや楽しもうとしてます)、体を揺すって踊り出す人もいます。
こんなやり方初めてです。いいですね。自由な雰囲気の中でとても気持ちが良かったです。
審査発表の時も、発表があった後も皆さん会場に残っています。
他校の人たちの受賞に拍手を送っています。みんなで楽しんでいるように私には見えたのですがどうでしょうか
まぁ、中には泣いている(結果がよくなかったのでしょうか)人も見かけましたけれど、それでもその姿は本人たちには悪いですけれど清々しい感じがして私にはとても爽やかなものに映っていました。
全体としての水準はとても高いとは残念ながら私には思えなかったのですが、音楽にとってとても大事なものがここにはある、と感心させられました。
私にはとてもいい日になったと思います。やはり来て良かったです。

No.382 '01/9/1「第一日目の神奈川県合唱コンクール」終わり