No.390 '01/10/15

発声学会での講演とベートーヴェン練習


14日(日)はちょっときつい1日でした。
午前から午後にわたって日本声楽発声学会関西支部の依頼で「ヴォーチェ・ディ・フィンテ」についての講演と演奏、そして夕方からはベートーヴェンのシンフォニー「第5番」「第6番」の練習でした。

【地声と裏声、「ヴォーチェ・ディ・フィンテ」についての説明と実践】と題された日本声楽発声学会関西支部からの依頼講演。
年月の流れを感じますね。ファルセットの重要性について話をしてくださいとは、私が始めた20年ほど前には考えられないことでした。
広くおこなわれていた声楽のレッスンでも「ファルセット」は出してはいけないと言われていた時代です。
それが今では確かなファルセット派の歩みが感じられる時代となったのですね。
独唱の分野においても、そして合唱の分野でもファルセットの重要性が認められて来つつあるといってよいでしょう。

午前の講演では「ヴォーチェ・ディ・フィンテ」について説明をしました。合唱団も加わり、その歴史的な背景とその響きも聴いていただきました。
ただ、私のこれまでの実感からでしょうか、その発声の重要性についての説明部分がかなり多くなりました。
最初の依頼では「どのようにフィンテを作っていくかその課程を示して欲しい」とのことも含まれていたのですが、それが結果的には省くことになってしまいました。
つまり出席者の前での私の「レッスン風景」も求められていたのですね。
まぁ、これについてはもし機会があれば次の時にでもしてみたいと思っています。

午後からは合唱団による演奏を聴いていただきました。
響きの少ないところでの演奏は疲れますが、「ヴォーチェ・ディ・フィンテ」による響き、そしてその効用(?)、特徴は伝えられたのではないかと思っています。

さて、少し休みをとってベートーヴェンの練習です。
楽しいのですが、まとめるのが大変です。
初演当時のオーケストラの規模ということで、フルオーケストラでないにしてもかなりの大編成。
ここでも新しい響き、演奏が目的です。特に私のベートーヴェンシリーズはある目的のために続けられているものです。(これについては「演奏にあたって」に書く予定にしています)
ベートーヴェンの作品の魅力は様々にありますが、それは当時における理想と限界との戦いでもあったのですね。
その魅力を我々自身も体験しながら、聴いていただく方々にとっても面白いものになれば、その思いをもって練習が続けられます。
練習が終わった9時、もうくたくたでした。

翌朝もsco(シンフォニア・コレギウム大阪)の弦セクションの練習、そして夕方には和歌山バッハ合唱団の練習のため和歌山へ。
オーケストラと合唱の音楽を二日続けて連続です。
これってきついと初めて思いましたね。(笑)
やはり分野の違う音楽を演奏したり、練習するには間隔が必要だと思いました。

今週の土曜日はベートーヴェンの演奏会です。
もう、私の頭の中はベートーヴェンで一杯。
この4日間、勝負どころですね。
私なりの演奏を聴いていただけるよう最善を尽くしたいと思っています。

No.390 '01/10/15「発声学会での講演とベートーヴェン練習」終わり