No.454 '02/9/11

「中学校の部」「高等学校の部」の感想です


各審査員から一校づつ、演奏に関する意見を伝える用紙が用意されていました。
これが正直私は苦手です。(笑)
まぁ、演奏に対するメモはこまめに取るのですが(後で審査する際の参考にします)、文にするには時間が足りません。
文を綴っているうちに演奏はドンドン進んでいきます。(笑)
この用紙は演奏された学校に届けられます。きっと指揮をなさった先生が参考にされると思うのですが、そう思えば思うほどいい加減なことは書けず(当たり前ですね(笑))、考え込んでしまいます。

私など文を書くのが苦手なものですから、音楽で表現するしかなかったんですね。(笑)
言葉を使う脳と音楽を聴く脳は違うと実感する私です。
上手く使い分ける方には感心してしまうというか、ただもう尊敬してしまいます。
ということで、そのお詫びかたがたこのような形で私の不備を補わせていただいています。
関係者でない方もお読みいただいていると思いますが、私の音楽観も示せていると思いますので、もしよろしければさっと目を通して頂ければ嬉しいです。

さて、それではコンクール二日目の「中学校」と「高校」の部の感想です。

ノートルダム清心中学校
【課題曲】音楽の流れにうねりがあります。これは私、評価したいところです。しかし各パートのバランスが良くないと聴きました。上声部が強く下声部が弱いです。最初は言葉も聞こえてきたのですが、後半が不鮮明になったと思いました。
【自由曲】これも各パートのバランスの悪さが目立ちます。どのパートも充実させるのは困難を伴いますが、もう少し出るパートと控えるパートを指示することである程度は良くなると思うのですが。子音の不鮮明さも気になりました。全体に音の立ち上がりが甘くなったと思います。結果は4位だったと思いますが、スミマセン、私は6位を付けてしまいました。
徳山市立 須々万中学校
【課題曲】もう少しダイナミックなものが欲しいと思いました。迫力がないというかもっと積極性が欲しいです。しかし、私は評価したのですがハーモニーは良かったと思います。
【自由曲】これも課題曲と同じ感想を持ちました。で、考えたのですが、「ソーラン節」という選曲で良かったですか?女声四部でもう少し合った曲があると思うのですが。迫力のいる曲ではまだその良い特徴(ハーモニー)が生かされないと思ってしまいました。私はそのハーモニー作りに対して4位を付けたと思います。
島根大学教育学部 附属中学校
【課題曲】言葉を大切にした演奏。メッセージは確かに届きましたよ。素敵でした。
【自由曲】しかしこの曲では一転して、言葉が不鮮明。音の輪郭もぼやけ、ピッチの甘さも感じました。ちょっと私には課題曲とのギャップに戸惑いを覚えました。結果は3位でしたね。私も3位を付けました。
東広島市立 高屋中学校
【課題曲】落ち着いたテンポで丁寧、言葉を大切にした演奏でした。
【自由曲】とにかく誠実な演奏に好感を持ちました。フォルテの豊かな響きが印象的です。結果は2位。私も2位をつけました。
高梁市立 高梁中学校
【課題曲】指揮された先生は生き生きとした指揮振りが印象に残ります。それに対して生徒達に迫力不足を感じます。ピッチの低さも気になるところが幾つかありました。
【自由曲】音程の悪さが目立ちました。低声の声作りを工夫されてはいかがでしょう。
萩市立 萩東中学校
【課題曲】もっと積極的なアプローチで言葉のメッセージを期待したいと思いました。誠実な演奏だとは思うのですが。
【自由曲】言葉の裏にある内容を聴きたいと思うのですね。言葉を大切に、そしてその意味を伝えられるような演奏を望みたいと思いました。
総社市外二箇村中学校組合立 総社西中学校
【課題曲】発声がまだ統一されていないのでしょうか。高声のeが下がりますね。dのチェンジができないのでしょう。ハーモニーは柔らかいのは良いのですが、弱すぎますね。
【自由曲】一変して高声は良くなりましたね。これはどういうことでしょう?やはり思うのですが、選曲はこれで良かったですか?皆さんには違った選択もあったのではないかと思ってしまいました。
出雲市立 第一中学校
【課題曲】フォルテが良く響きましたね。丁寧な演奏にも好感を持ちました。立派な演奏、風格がある演奏というのでしょうか。これも一つのフォームだと思います。
【自由曲】それだけに言葉をもっと鮮明にした演奏、明澄な演奏を私は望んでしまいます。子音の発音を工夫されてはいかがでしょう。結果は1位でしたね。おめでとうございます。私も1位をつけました。
羽合町泊村中学校組合立 北溟中学校
【課題曲】各声部のバランスを整えたいですね。明るい発声を試みて下さい。
【自由曲】発声の暗さが気になります。課題曲でも書きましたが、各声部が聴き合ったアンサンブル、バランスの取れたハーモニーを期待します。

「高等学校の部」の感想です


審査員を代表して「講評」することになりました。
もう緊張です。(笑)
ステージに上がることは大好きなのですが(笑)、喋ったりするのは苦手です。
それも「講評」となると何を喋り出すか私自身判らなくなったりして(笑)、凄く緊張してしまうんですね。
みなさんに提出する「意見の用紙」も「もしよろしかったらhttp://www.collegium.or.jpまで。詳しく書けるかもしれません」というメッセージだけに終わりました。(笑)
文字を書きながら音は聴けない私です。お許し下さい。

鳥取県立 鳥取西高等学校
【課題曲】地声が目立ちました。発声を整えられるよう期待します。
【自由曲】これも同じ感想です。(スミマセン、メモにはこれしか書いていないんです)
岡山県立 岡山城東高等学校
【課題曲】重たい声というのが印象。イントネーションも揃いませんでした。これは子音の発音を考慮されてはいかがでしょう。【自由曲】声の色の変化が欲しいですね。楽譜の細やかなニュアンスを試みてみられること願っています。声、やはり暗く重いと感じました。
広島市立 基町高等学校
お腹に手をやって歌っている姿が印象的でしたよ。【課題曲】フォルテがふくよかで良かったです。ハーモニーもまとまっていてその丁寧な演奏に好感を持ちました。これからは子音の処理を工夫されたら良いのではないでしょうか。
【自由曲】整ったアンサンブル、美しいハーモニー、フォルテがよく伸びましたね。最後も決まりました!結果は3位でした。私は2位と付けています。
岡山県立 高梁高等学校
【課題曲】もう一歩踏み込んだ表現を望みたいと感じました。音楽の流れにメリハリが欲しいのですね。
【自由曲】言葉はハッキリしたと思うのですが、やはり表現が平坦に聞こえます。うまくまとまってはいるのですが。特徴がない、それが聴いた印象です。そういったこともあるのですが、私は4位をつけています。
山口県立 萩高等学校
【課題曲】女声たちの響きは良かったですよ。男声は始めピッチが低い(テノール)のが気になりましたが、後半はよくなりましたね。言葉が不鮮明なのが一番気になりました。
【自由曲】言葉が明瞭になりました。ソプラノ高音頑張りましたね。しかし、声を押しつぶしたようになったのは気になります(でも、仕方ないか、と思わせる曲ではありますが)時折男声が低くなったのが残念。ハーモニーとしてのバランスを評価して私は5位をつけたようです。
島根県立 浜田高等学校
【課題曲】男声が立派でしたね。フォルティッシモも声量があって良かったです。もう少し言葉が鮮明になればいいのですが。
【自由曲】これも声量を生かした立派な演奏でした。アカデミックな演奏というのでしょうか、私などはもう少し表情の変化をつけても良かったと思うのですが。結果は2位でした。私は3位をつけています。
野田学園高等学校
【課題曲】男声と女声のユニゾンが揃いません。平坦な表現も気になりました。
【自由曲】言葉の内容が聴きたかったですね。もっと色濃い表現ができるのではないかと思います。男女のアンサンブルをもっと試みてみることをお勧めします。
島根県立 松江北高等学校
【課題曲】豊かなバランスの取れた響きでした。言葉もよく練られて、丁寧な演奏だっと思います。大人の演奏でしたね。
【自由曲】細かいリズムに乱れがあったものの音楽の流れは聴かせるものがありました。これからも精度をあげて一層のアンサンブルに磨きをかけられたらいいですね。音楽はリズムが生命です。結果は1位でした。私も1位を付けました。
ノートルダム清心高等学校
【課題曲】地声が聞こえてきます。そのためにハーモニーにまとまりがないように思いました。
【自由曲】これらの曲を歌うときは旋律の「音律」を正確に取る必要を私は感じます。「音律」によるメロディー、そしてそれにつけられたハーモニーを聴きたいと思いました。
いかがでしょう、お祈りの音楽は「自国語」で聴きたいと私は思うのですが。結果は4位。(スミマセン)私は7位をつけています。(宗教曲には辛いのでしょうか?)
「高等学校の部」の自由曲は個性に溢れていて楽しく聴かせていただきました。
しかし、その表現は一層の「音楽的表現」が必要だと私は感じました。
どうしてもまだまだ平坦に聞こえてしまうのですね。
大人の演奏を感じさせるものが増えているとはいえ、その中身は「アカデミック」です。
「アカデミック」がいけないとは思いません。
しかし「アカデミック」の「質」を問うような演奏は試みてもいいでしょう。
新しい感覚として、言葉の生きた音楽、切実な思いとして言葉や音を捉える、そういった演奏に出会いたいと思います。

一瞬一瞬を生きる、それが音楽だと思うのですね。
二度と同じものはない、一度しかない演奏。それが「本番」です。
「今を生きる」
合唱を通してみなさんはそのことを示してこられたのだ、と私は聴かせていただいています。
その評価に責任の重さを感じます。
どうか、これからも合唱の楽しさを追求して下さい。
みなさんの合唱を楽しむそのエネルギー、楽しさを、聴いている人たちに分け与えていってほしいと思うのですね。
今回のコンクールがみなさんにとって良き思い出となりますよう、心から願っています。
審査員の一人として参加し、皆さんとともに同じ空間に居られたことを感謝したいと思いました。
ご苦労様でした。
そして、有り難うございました。

ご意見や質問などありましたら私宛にメールを頂ければ嬉しいです。
「中学校の部」の始めにも書きましたが、これらの私の感想は当日のメモ書きをおこしての文章です。
私がどのように皆さんの演奏を聴いたかを明確にしておきたいとの思いで綴りました。
他の審査員の先生方の代弁や、代表したものではありませんのでくれぐれも誤解がありませんように。

No.454 '02/9/11「「中学校の部」「高校の部」の感想です」終わり