No.463 '02/10/13

「ベートーヴェン・シリーズ」前夜


ベートーヴェンを聴いたことが私の音楽家としての歩みの第一歩でした。
ラジオから流れるその音楽に体が震えるんですね。
力強さ、音色の変化、その叙情性に身が震えたんですね。

その後、目指す音楽がバッハ、シュッツとの出会いで「バロック」へ向いたとはいえ、私の体はいつもベートーヴェンを欲していました。
何故なんだろう?と聴き始めた当初はよく思ったことでしたが、それが「生命への讃歌」や「熱い希望の希求」だと知るのにそんなに長くはかからなかったと思います。
落ち込んだ時など、ベートーヴェンを聴いていつもエネルギーをもらったものです。(笑)
シンフォニーなどは楽器の使い方や、書法に一人でほくそ笑んでは気付かれはしないかと周りの人たちを見回ったりしたものでした。

10年をかけてベートーヴェンを演奏してきました。(毎年1回、抜けた年もあったかと思いますが)
やはりベートーヴェンは私の「心の音楽」だと確認する歩みでしたね。
明日は「第2番」と「第7番」です。
なかなか「第2番」の評価が高くないようなのですが、実は私これ大好きなんですね。
「第7番」同様、明日は私の「第2番」となるよう頑張るつもりです。

その前日の今日、自宅の部屋でいろいろ考え事をしている最中、ふとテレビから流れる合唱音楽に気付きました。
NHK全国学校音楽コンクールの全国大会でした。
「中国ブロック」の審査をしたものですから、途中からでしたが少し見ることにしたんです。
「見なきゃよかった」と思いましたね。(笑)
またまた<不自然な><作り物>の世界が展開されています。
どうしてあんなに飾り立てた、虚像のサウンドを作るんでしょうね。
私が審査して送り出した学校はどうだったんだろう(どうも私が見始めたときは既にその学校は演奏し終わっていたようです)、と思いながらもスイッチをOFFにして消してしまいました。
でも、気になるんですね。
審査発表の時間があるだろうその時間にスイッチを入れてしまったのでした。(笑)
で、演奏は結局聴くことができなかったのですが、第1位をとったのは何と「中国ブロック」で私も一位を付けた「広島市立 福木小学校」だったんですね。
今日の演奏は聴いていなかったものですから、確かな感想は言えないのですがちょっとこれは嬉しかったですね。
とにかく私の評価は、<作ったもの><不自然なもの><飾ったもの>には一貫して低い点を付けていたのですから。

小学校でのトップクラスの演奏です。
その演奏を聴きながら将来のことをいろいろ考えてしまって、自宅を出るのが遅くなってしまいました。(笑)
いま、ホテルでこれを書いているのですが、明日私が演奏するベートーヴェンってどんな風にお客さんは聴いてくださるんだろう、といろいろと思いめぐらしながら、後でもう一度スコアに目をやることにします。

No.463 '02/10/13「「ベートーヴェン・シリーズ」前夜」終わり