No.467 '02/11/4

「東京定演」が終わりました


「東京定演」が熱い余韻を残しながら終わりました。(お出で下さった皆様に感謝)
合唱団がステージから退場する前半の休憩前、大きな拍手が鳴り止みませんでした。
また、演奏会の最後で演奏したアンコール(千原英喜「淀川三十石舟歌」)の後も、合唱団の最後の団員が退場するまで大きな拍手で見送っていただきました。

やはり良いホールでした。
ここを「東京定演」の本拠にしたいところです。
スタッフもとても協力的で、多くのステージを踏んできた我々ですが、その協力的なサポートはトップクラスでした。
いつも我々の演奏はリハに時間をかけます。
歌う位置も我々が決めます。
おまけにステージをいくつものブロックに分けたり、ステージから出たり(笑)、二階席にあがったり、照明を変えたり、とにかく普通のクラシック演奏会にはしないことをするものですから、ホール・スタッフの協力は不可欠なんですね。
今回は午後二時の開演とあって、リハの時間もタイト。
ギリギリまでかかってリハをしました。

第一曲目、ペルトの女声合唱曲で流れができたと思います。ドイツ語の処理は難しかったのですが、練習を通して合唱団は尻上がりに良くなってきていました。私もついそのテキストの意味にはまりがち。「おごり高ぶり、欺瞞に満ちて自分を高くするものは低くなり、己の罪を認める者こそ高くされるのだ」という内容に少し涙がにじみます。
5分ほどの曲なのですが、その心の動きは5分なんてものじゃないですね。

1時間半にも及ぶ「ヴェスプロ」。
この曲を寝ないで聴いていただきたい(笑)、それが目標。(というのは冗談としても、息を呑む演奏はしたかったのですね)
「ヴェスプロ」の途中で休憩を取ったのですが、その時上に書いたような拍手が起こったのでした。
練習を通じて無かったミスが本番ではちょこちょこあったのですが、音楽の流れは終曲に向かって高揚したのではないかと思います。

少し演出を加えてのプログラム最後の曲、千原英喜氏の「阿知女作法 ーあちめのわざー」が終わったとき、会場は静まり返っていました。
この曲の反響は凄かったですね。
たぶん、意味など詳しいことは解らなかったけれど、「とにかく凄かった」というのが大方の感想ではなかったかと思います。
会場に来られていた外国の方の意見も耳にしたのですが、ストレートにこの曲の「本質」を理解されていたのではないかと思うほどの反応です。
会場に来られていた作曲者の千原英喜氏の笑顔が印象的でした。

音楽の作り方は様々です。
演奏の解釈も様々でしょう。
客観的な演奏に終始できる我々ではどうもないようなんですね(笑)。作品が持つ精神的なものをできるだけ私たちが感じたものとして表現したい、そう思っての演奏です。
演奏はこれからも磨いていかなくてはなりません。まだまだ続く道のりですが、今日頂いた拍手はなによりも力強い励みとなりました。
来年は「SCO」の弦を引き連れての演奏を、と思っています。
私にとっては来年も楽しみの「東京定演」です。

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