No.468 '02/11/5

くたくたの箱根


演奏会を終えて箱根です。
演奏会後のレセプションを終え、少し興奮しながら箱根にやってきました。
とにかく・・・・、とにかく、ちょっと一休みを!と思っての無理矢理のエスケープなんですね(笑)。
温泉に浸かりホッコリ。疲れがスーッと消えていくような満足の一時です!

お宿に着いたのが遅かったものですから、お風呂とホームページの「日記」をあげ、後は一緒に来たメンバーで少しのピール&お茶&お菓子で談笑。
演奏会の感想、反省、感動の確認、スタッフやホールのこと、いろいろと出てきます。
その中に、テナーの大役をいきなり背負うことになった河村くんの話が出てきました。
今まで殆どソロらしいソロを歌うことがなかった彼が、パートリーダーとしての経験を生かしたソロ及び重唱への挑戦でした。
立派にやりましたね。まだまだ課題もありますが、先ずは彼にとって飛躍となった大きな第一歩、大きな拍手を送りたいと思います。
他にも、団員たちのレベル向上が顕著に出た演奏会でした。
モンテヴェルディの「ヴェスプロ」は一人一人の歌唱力が問われる大曲です。
ソリストと合唱団が別々でなく、合唱団の中からソリストを選ぶという私の意図ではその歌唱力が問われます。
ハモれる声と感性。それを持ち合わせてソロも歌う。
「声楽アンサンブル」のメンバーはその意味で通常の二倍の役割を果たしています。
それらを見ながら、他の団員が合唱団員としても、そして一人の歌い手としても向上していくんですね。
今回も多くの団員の輝きを放っている顔をたくさん見ました。こういう時、指揮者として、そして主宰者として最高の喜びとなるんです。

また、千原英喜氏の作品へ移る際に客席からステージと向かって歩いたOCMの団員に拍手。
彼女たちのパフォーマンスは指揮者としての私に引っ張られたのではありません。指揮者に統率されたのではなく、自らの感性によって演奏を導くという大役を果たしたのでした。
この「OCM合唱団」の意欲、意識が現在の我々の演奏を安定したものとしているといって間違いないでしょう。

遠方から来ていただいたお客さんもいたと聞きます。
CDを聴いて是非生(なま)を、ということだそうです。嬉しいですね。
いつも書いたり、言ったりすることですが、音楽の面白さは「ライブ」にあると思う私です。
「ライブ」としての面白さを伝えたい、これが私の音楽作りの原点です。
若い学生さんたちが沢山聴きに来てくれました。
反応がストレートでいいです。
即、演奏にも跳ね返ってまさに「ライブ」の醍醐味なんです。

お湯に浸かりながら、演奏会での様々なシーンがよみがえります。
どこを取っても人が動き、空気がうねっていました。
会場を人の息によって温かく活気に満ち、それでいて感性の研ぎ澄まされた空間としたい、それが願いです。
誰もいない静かな湯船に一人浸かりながら東京公演を振り返る私です。

No.468 '02/11/5「くたくたの箱根」終わり