No.506 '03/6/30

「現代音楽シリーズ」が終わりました


梅雨空が続き、雨も降っていた毎日だったのですが、当日は久しぶりに晴れ間も出た演奏会当日でした。
前日までの予想ではお客様の入りも心配されたのですが、蓋を開けてみれば遠方から(東京、広島、愛媛、名古屋など)駆けつけていただくという熱心なお客さまに囲まれての演奏会となりました。
演奏したい曲が即聴衆にとっても聴きたい曲とはならないのではないかというジレンマや、初演を含むことでの不安や様々な心配がある当日なのですが、お出で下さったお客様を見ていつも払拭できるという幸せな「現代音楽シリーズ」コンサートです。
助成していただいた各機関に対しても心からのお礼を申し上げる次第です。

千原英喜氏の二作、どちらも委嘱・初演となった作品。
スライド及びオブジェとしての人、そして照明による演出を加えたての合唱曲「猿楽談義<翁>」
それに弦楽合奏の「天地紋様」。
後で読ませていただいたアンケートには「よく判らなかったけれど面白かった」という「猿楽」(笑)、そして今回のプログラムの中で最も好評と受け取れる「天地紋様」。
特に、「天地紋様」は様々な表現でアンケートに思いを綴られていて、人気の程がうかがえました。
実はこの曲、合唱団の多くの者もお気に入り、この曲によって我が団でも千原ファンがまた増えたようです。(笑)

後半は西村 朗氏の「青猫」。
ピアノ、ヴァイオリン、クラリネット、チェロが紡ぐ音の妙味は不思議な魅力に満ちます。
合唱も<早口言葉>の競演か、と思わせる曲があるものの、その変拍子や力強いリズムや推進力はやはり音楽のもつ大きな魅力の一つです。
ホールの響きの都合でテンポやニュアンスを少し変更したところもありますが、この作品が持つ妖しい世界は魅力を感じたという意見もありました。
この楽器編成での音響上の難しさが緊張感を生んでいたと思います。
それに絡む女声合唱。まだまだ磨く余地があるもののホールの音響との格闘が今も脳裏に焼き付いています。

グレツキの「聖アダルベルトカンタータ」【日本初演】はそのホールの音響ともっとも格闘した演奏となりました。
熟知しているいずみホールの音響ですが、この編成での演奏ではやはり位置関係を考え直す必要ができたのでした。
前面(ステージ奥)に合唱団、その前に二台のピアノと打楽器群、後ろにパイプオルガン、これでは合唱が聞こえてこなくなってしまったのですね。
ということで合唱を急遽二階で歌うこととなりました。
左右に分かれての合唱団。
こういうことに慣れている合唱団だからできる変更でしょう。(笑)
下手側にソプラノとテノール、上手にアルトとバスが並びます。
ゲネで聴いていた我々のスタッフもこれが良いという判断。
ゲネの時間も短く、ほぼぶっつけ本番の位置がわりとなりました。
聴いていただいていたお客様にはどのように聞こえたことでしょうか。
いつも思うのですが、この時同時に客席で聴きたいと思うのですね。(笑)

打ち上げは千原さんも来ていただいて盛り上がりました。
東京での再演を約束。
関西発、大阪発の音楽をこれからも発信し続けたいですね、という思いを熱くしてお別れしました。

今年前半の大きな演奏会が終わりました。
この後二ヶ月、充電の期間を設けて秋の音楽シーズンへとまた向かいます。

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